無限の未来 4th season (ページ44)

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194話ページ44

【樹】

『もしもし、樹ぃ？』

青「おー。久しぶり～」

『うん！ふふっ。高校卒業、おめでとう！』

この春、俺は高校を卒業した。

最後の一年…いや、半年？

めちゃくちゃ苦しい半年で、人生でこんなに苦しいこと、もうないんじゃないかって思ったし…正直、あの時はもう逃げ出したくて。

本気で、全てを辞めることも考えた。

けど…やめられなかった。

“Aは、樹が…好きだよ。“田中樹”が、大好きだよ。周りも、なにも関係ない”

そんな言葉をくれた、Aがいたから。

やめたか、なかった。

あれから半年が過ぎて、またひとつデビューを決めたグループがあって…ここ最近で、東西関係なしに、俺たちジャニーズJr.を取り巻く環境は、また大きく変化をした。

春からは新しい番組も決まり、歌う場も定期的にできた…そんな時期。

AはAで、大きな転機を迎えていた。

青「話したんだって？…苦しいって」

「んー、ちょっと違うけど、そうかな？…病気のこと話して、治療のこと伝えて…できないことは、助けてもらいたいって」

青「おぉ、そっか。んで…楽になった？」

「うん！なんか、変に色んなこと、気にしすぎてたかもしれない」

Aは良くも悪くも、気遣いの人。

俺もよくそう言われるけど、兄弟の多い家系の宿命なのかな。

でも、電話の向こうのAの声は明るかったから、安心したのも事実。

青「A、俺ら…ちょっとだけ忙しくなれるかも」

なれる“かも”と言ったのは、わざと。

ここ数年、うまくいかない時期が続いていた。

仕事が建て込んだと思ったら、急にパッタリ…ってこともザラだった。

激しい波に、飲まれてしまわないように必死だった。

最悪な時期だって、過ごした。

でも、逃げなかった。

「樹？…A、あと半年、頑張れるんかな？半年終わったら…みんなのところに、戻れるんかな」

いつだったか、Aが言っていた。

夢の中にいる感じって。

Aも、もうすぐ高3になる。

夢を見られる時間は、限られている。

現実は、多分すぐそこまできてるから、きっとA本人も迷ってるんだ。

青「大丈夫。どんな決断をしても、AはAだ。それがAの人生なら、いいんじゃないか？」

いつか、Aが俺に言ってくれた言葉だった。