. ページ10
【北斗】
なんかよく分かんないけど、Aに連絡したら風磨が一緒に来てくれた。
洗濯機の音だとか、キッチンで何か作る音だとか。
そんな心地よい音に、夢と現実の狭間。
風磨からの“寝てな”って声にありがたく甘えれば、次に目が覚めた時には、随分と体も楽になっていた。
黒「ごめん、全部やってくれたんだ…」
「んー？ふふっ。だって、いつもやってくれてるじゃん、にぃにも」
黒「いや、あなた病み上がりだったなってさ」
「気にしない、気にしなーい」
俺と風磨の食べた諸々をAが台所に運びに行けば、風磨が遠慮がちに“樹知ってんの？”って。
黒「んーん。…なんか、Aだった」
菊池「…っぶねぇ、言うとこだった」
黒「いや、隠してたわけじゃないけどさ…ん、なんかね…なんか、Aだった」
菊池「…そっか」
黒「別にさ、父さんにバレたくないとか…もう俺だってそれなりに大人だし、優吾や、阿部ちゃんたちの手を借りたくないとか、そんなわけじゃない」
だけど、なんか、Aだった。
たまたま履歴の一番上にAの名前があったから、なんて、そんなのは、ただ、かこつけただけの理由なんだと思う。
きっと、あそこに朝のままジェシーの名前があったって、俺はAの名前を探しただろう。
黒「心配されたくないとか、昔は思ってたけど…今は、そうじゃなくて…んー…なんかさ、アンバランスな感じするんだよね。俺ばっか、心配かけてるな…みたいな」
菊池「んなこと…」
黒「ないのは、分かってる。俺の、気持ちの問題。でも…Aは、ある意味で、一緒だから。…楽なのかもね」
菊池「ハハッ。ん、かもな」
黒「あと…来てくれたの、風磨でよかった」
菊池「えー？」
黒「…変に心配したり、しないから。なんか、いつものまんま居てくれるから。あ、いい意味で」
取ってつけたように言うなって風磨は笑ったけど、多分、Aも思ってるよ。
父さんや、しょっぴーたちと、友達として接するのと何も変わらず、俺たちにも友達の隣みたいにフラットに来てくれる風磨だから。
風磨「…俺は、あいつらみたいにお前らの体を楽にしてはやれないけど」
黒「ん、ありがと」
心は、軽くなる。
一人だけど、独りじゃない。
二人が来てくれて、そんなこと、思えた。
-Fin-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 541人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かん。(プロフ) - 黒loveさん» リクエストいただきありがとうございました！お待たせいたしました、短編集��にてお話完結となります。ありがとうございました！ (10月29日 15時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
佑妃奈(プロフ) - かん。さん» 書いて下さりありがとうございます!!これからも応援してます😊 (9月21日 21時) (レス) id: 560bd373a9 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - 佑妃奈さん» リクエストいただきありがとうございました☺︎イメージ通りにできていますでしょうか…？お楽しみいただけていたら嬉しいです！いつも応援していただけて感謝しております！これからもよろしくお願いします！ (9月20日 0時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ちぃぷーさん» リクエストいただき、ありがとうございました！都合により、一旦パパに振ってしまいましたが、この後別のリクエストでこのお話を引き継いで佐久間くんに登場してもらう予定なので、ぜひそちらも引き続きよろしくお願いします！ (8月31日 12時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
黒love - いつも見てます!リクエスト失礼します。ほっくんが髄膜炎の治療中の話が見たいです。お願いします (7月25日 19時) (レス) id: 247892270a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かん。
| 作成日時：2023年5月18日 12時
