いつも僕らは-4- (ページ34)

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【184】HOKUTO ページ34

“幼なじみ”というその関係に触れられた時。

樹のオンナへの気持ちがプチっと切れてしまうのは、いつもそんなタイミングだった。

今回も、そう。

樹「触れんな…って、思っちゃうんだよ。俺にとってこの幼なじみ四人の関係…すげぇ“トクベツ”で。なんだろ…“聖域”っつうんかな」

北「聖域って…」

樹「大袈裟って思う？…よな。けどさ…俺にとっては、そうなの。お前らは、聖域。絶対に、無くしたくなくて…ここだけは、絶対に守りてぇの」

樹がこんなにも飾らず、真っ直ぐに俺らにぶつかってくんのは珍しくて。

それだけ樹が本気でそう思ってることが、伝わらないはずなかった。

「ふふっ。聖域かぁ〜…すごく、しっくりくるね」

慎「Aっ！」

「ごめん、聞こえちゃったんだもん」

樹「ハハッ。ん、聖域。色々あったじゃん、俺。お前ら、絶対俺んこと離さずにいてくれたから。感謝してんの。だから…なんか、そこに触れられちゃうと…」

北「過剰に反応してしまうと。それで、気持ち切れちゃうわけだ」

樹「そ。自分でもわかってる。わかってっけど、やっぱ…雑に触れてほしくないんだよね。土足で踏み込んで欲しくねぇっていうかさ」

北「言い得て妙だな」

妙に納得がいったのは、多分俺たちもどこかでそれを感じていたからで。

それが表に出てこないのは、俺や慎太郎がそこに雑に踏み込まない相手と一緒にいるからで、なんならAはその一人だし。

樹の場合は、そうやって踏み込まれる可能性のある女の子が相手だからってだけ。

そう、たまたまなんだ。

「でもさ、そこまで思ってくれてんのは嬉しいけどね。…なんとなく、わかるし」

北「え、わかんの？」

「あぁ…ほくにじゃないよ？クラスの子とかさ…樹とか、慎とかと、近すぎない？って。やっぱり、言われないわけじゃないの」

“ストレートに、ムカつくよね。ほっといてよ、って思う”

慎「珍しく口悪っ。樹の移ったんじゃね？」

樹「いや、元からだろ」

北「やめろ、樹と一緒にすんな」

いや、やっぱ北斗かな〜？なんて。

真面目に話してたはずなのに、いつの間にかこうやってどうでもいいアホみたいな会話に落ち着いちゃう俺たち。

樹の言う通り、ここは俺たちの聖域なのかもしれない。

そんなこと思って迎えた新年だった。