いつも僕らは-4- (ページ32)

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【182】JURI ページ32

“あの子は誰？”

いつか聞かれると思ってたけど、まさかこのタイミングなんて思わないから、なんか、急に冷めちゃって。

こういうとこなんだろうなって、そんなの自分でも分かってる。

樹「あーあ…だりぃ」

誰もいない年末の部屋。

だりぃのは、気持ち的なもんもだけど…

『風邪ひいても彼女一人来てくれないなんてね〜』

俺が風邪ひいて少し早めに家に戻ったからって、医者説得して無理やり一時退院してきた母ちゃんの方が、よっぽどメンタル強くて、まだまだ自分は子どもだなって思い知らされるわけ。

せめて、ちょっとぐらい背伸びして“お腹の子風邪うつったらどうすんの”なんて言ってみるけど、笑い飛ばしてんだもん。

樹「ｹﾎｯ…ﾊｧｯ…あーあ」

『楽しそうにしてたじゃん、最近』

樹「俺ぇ？」

『うん、そう。なんか吹っ切れたかなぁって…母ちゃんの思い込みだった？』

樹「ははっ…どーだろうな。ｹﾎｯｹﾎｯ…」

年末、あいつらと過ごさないって選択肢ってあるんだ…とか思いつつ、どこか気持ち悪くて。

いつもなら別に一人でいるならそれで、勝手になんかしてたんだろうけど、なんとなく今日は年末だからか寂しささえある。

“ごめん、風邪ひいた”

トークアプリにそんなメッセージを打ち込んですぐ、重たい体に逆らうことができずに目を閉じる。

日付、もう超えた？って思いながら次に目が覚めた時、思ったよりも時間は経っていなかったみたいで。

「樹？」

樹「ん…」

慎「おー、起きたやん。よかったね、あと2時間あんよ」

樹「んー…？」

北「ハハッ、めっちゃ寝ぼけてんじゃん」

樹「うるせぇ、風邪ひいたっつってんだろ…ちょっとは静かにしろよ」

だったらあんなメッセージ送ってくんなって、いつも通りの幼馴染に重たい体なんてどこか吹き飛ぶみたいだった。

コイツらに会えば途端に、アイツから送られてきたメッセージもどうでもよくて、結局俺の中の優先順位ってそうなんだなって思うじゃん？

慎「…大丈夫だった？彼女」

樹「あー、まじたった今それ頭から吹っ飛んだばっかなのに触れんなよ、お前」

慎「ハハッ、ごめん。でもさぁ〜…ねぇ？」

Aが席を外してるからか、気まずそうに顔を合わせる北斗と慎太郎に、俺が思ってるより面倒なことになっていることを感じ取るしかなかった。