いつも僕らは-4- (ページ25)

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【175】YOU ページ25

河合「ん、楽にしていいよ」

「どぉー？」

河合「んー、まぁ疲れたんだろうなって感じ。これ、一昨日のね？んで、こっちが今日。ちょっと腫れてるのよ。でもそんな心配するほどじゃないから安心して」

病院へ帰るギリギリの時間までほくと2人で過ごせる時間を思いっきり楽しんだ。

事前にほくが河合先生にリサーチしてくれて、ご飯だって食べたいものを食べられたし、見たかった映画も見て、それなりにはしゃいだ。

だからちょっとだけ、覚悟はしてた。

けど、大丈夫って笑ってくれる河合先生の独特なあの笑い声に包まれたら、すごく元気になれた気がした。

河合「俺は、Aが…あんな楽しそうに笑って帰ってきてくれただけで…それで十分」

「えっ？」

河合「俺は医者だからさ？どんな薬使えばAの体が良い方に向いてくれて、何したら苦しさを少しでも楽にしてあげられるかは分かる。分かるし、してあげられる」

河合「でも…心の痛みや苦しさは、俺だけじゃどうもしてやれないから。俺より、もっとそこが得意分野のやつは、Aのすぐそばにいるから」

な？って優しく親指を立てた河合先生は、本当に嬉しそうで、安心したような顔をしていて、今日1日どれだけ心配して待っていてくれたか、痛いくらいに伝わってきた。

ほくと駅に着いた時に迎えてくれたお兄の“お帰り”って笑う顔も、病院から帰る間際に、“またすぐね”ってはにかんだほくの顔も、みんな優しかった。

みんなの顔を思い出すたび、幸せだった。

強がりかもしれないけど、普通に幸せだって感じられた。

河合「楽しんでおいで、年末も」

「ふふっ。退院するのが先。…させてくださいね？」

河合「ま、俺も頑張るし。あえて言う。“がんばれ”」

ニヤリと笑う河合先生の肩の向こうに、優しい顔をした人がまた1人。

「立ち聞きしないの〜」

樹「たまたま病室来たら、お取り込み中だったってだけ。よかった、しんどくなってなくて」

「へへっ、樹もだ」

樹「えー？なにが？」

「んーん。幸せ者だなぁって…ちゃんと、いろんな人が…いろんな方法で愛してくれてることに、やっと気づけた」

ちょっとビックリした顔してた樹だったけど、楽しそうに笑って、“俺も最近気づいたわ”って。

結局私たちは、いつだって似たもの同士だった。