DATE9 ページ10
「その後ろの道具は何…?」
カイ
「フライパンに…お玉に…フライ返し…ですね」
トク
「そうじゃないって、ニット帽が言ってるの」
後ろで組んだカイさんの手にある道具に疑問を持ったのは、ニット帽にマフラーと、暖かそうな服装の男性だった。
カイさんはしっかりと答えるが、恐らく名称ではなく経緯を聞きたかったのだろう。
トクは静かに訂正を入れるが、とても小さな声なので私以外には聞こえていない。
話の食い違いに、ニット帽の男性は「そ…そうじゃなくて…」と苦笑いを浮かべていた。
なんとなく、彼からはなよなよした雰囲気を感じる。
Q太郎
「俺はバーガーバーグQ太郎や!野球選手やっとるじゃ!二軍やがな!」
四人目の人は、赤髪にスポーティーな格好に、方便の混じりあったおかしな言葉遣いで、しかも所謂キラキラネームとかいう名前の巨漢だった。
なんというか、アイデンティティのありまくりな方である。
この人だけは絶対に一発で覚えられる自信があった。
「ほわぁー…だから大きいんですね」
Q太郎
「193cmじゃ!力には自信あるぜい」
Q太郎さんを見上げるようにして感嘆の声をあげているのは、毛量の凄まじい作業着を着た女性だった。
Q太郎さんは、輪になって集合しているところを遠くから見ると、確かに周りより頭一つ出ている。
余談だが、これで非力だと言うようだったら体の構造がどうなっているのか知りたいものだった。
「他に言いたい人はいないみたいだね…」
トク
「いや、あんたはしないのかい」
A
「そういえばそうだね…まぁ、放っておこうよ」
あれだけ仕切っておいて、肝心の金髪男性は名乗らなかった。
文句を垂れるトクを軽く宥め、私も自己紹介すべきだったのにな、とちょっと後悔する。
「それじゃーサラちゃん、詳しく話を聞きたい人に色々尋ねてみてくれるかな」
サラ
「え…私がですか?」
ここにきてまさかのバトンパスである。
当然、指名されたサラちゃんは不可解そうな顔をして金髪男性に返事を返す。
「うん、俺みたいに警戒されてないし、角が立たないでしょ?」
サラ
「わかりました」
案外理由はしっかりとしていて、納得したのかサラさんの返事も蟠りはないようだった。
しかしあの金髪男性、「あ、それと…」と話に向かうサラさんを引き留めた後にこちらへと寄ってきた。
「君達二人にもお願いしたいんだけど、良いかな?」
A
「え?」
トク
「お……?」
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