DATE19 ページ20
ケイジ
「お二人さん、仲睦まじい所水を差すようで申し訳ないんだけどー…」
トク
「えー、申し訳ないと思うんなら来ないで下さいよー」
A
「トク…冗談だよね?」
ズボンのポケットに手を突っ込み、片手をヒラヒラと振っているケイジさんが、私達の元へと寄ってくる。
ケイジさんに対して冷ややかな視線を送る親友に、苦笑いをしながら少し注意してみる。
ケイジさんは大人の対応というものなのか、全く気にした素振りを見せずに「ごめんごめん」と軽く謝る。
ケイジ
「いやぁ、お巡りさんぼっちになっちゃってねー、一緒に探索しても良いかな?」
ケイジさんは目を細めながら、参った参ったと乾いた笑いをする。
周りには、少し世間話なんかをしているレコさんとナオさん、それからまだ目を覚まさないカンナさんしかいなかった。
どうやらグループができていないのは本当のようだ。
トク
「でもなんでわざわざアタシ達の所に?」
ケイジ
「可愛いからねー」
予想だにしなかった答えに、油断していた私は咳き込む羽目になった。
可愛いだなんて単語を、ケイジさんは軽々しく言ってのける。
きっと慣れているんだろうな、と自分が恥ずかしくなってきた。
頬に熱があるのが分かる、とても今は顔をあげられない。
トク
「は、はは、だ、大丈夫かっ…ふふっ、Aっ…ククク」
ケイジ
「おー真っ赤っかだ」
トクは背中を擦り心配してくれているが、面白かったのかちょんまげをコミカルに動かしながら爆笑している。
事の発端であるケイジさんは、悪びれた様子も見せずに一緒になって笑っている。
A
「けほっ、けっほ……はぁ。そういうのはあまり軽はずみに言わない方が良いですよ?」
ケイジ
「Aちゃんはウブなんだねー、面白かったよ」
トク
「反省してないな、全く」
咳き込み過ぎて涙目になりながらケイジさんを睨むと、のらりくらりといつもの調子ではぐらかされた。
トクはというと結構な塩対応で、「茶化しに来ただけならアタシ達もう行くんで」と私の手を無理矢理引っ張り立ち去ろうとする。
ケイジ
「ごめんってば、お巡りさん流石に疑われたくないからさー」
A
「…トク、私は別に構わないけど…どうする?」
トク
「Aがそれで良いなら、それで」
最終的に、私、トク、ケイジさんの三人で探索することになった。
警察官にトクが揃えば、案外何でもできそうだ…と、二人の後ろ姿を見ながら思うのだった。
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