DATE16 ページ17
レコ
「トク!お前何やってんだ!?」
カイ
「得体の知れない物…些か危険かと思われますが…」
箱に耳を当てたり軽く振り回すトクを見て、周りは騒然とし制止に入る。
トクはそれにも耳を貸さず、暫く箱とにらめっこをした後、こちらに向かって笑いかけた。
にしっ、と言いながら笑う彼女の、綺麗に並んだ白い歯が見える。
トク
「うーん、多分だけどこりゃ爆弾の類いじゃないかな」
ギン
「ニャン!?ちょんまげ姉ちゃんそんなのわかるワン!?」
ミシマ
「はて…どうしてそれを今の行動で読み取れるのか甚だ疑問ですねぇ…クク…」
トクの一言に、またしても皆がざわつく。
何故トクにそんなことが分かるのだろうか…トクは何かを知っているのだろうか。
それなら、不可解な言動の理由もつくかもしれないが……
トク
「いや……若干関係ないかな」
ジョー
「いや関係ないのかよ!」
キリッとしたキメ顔でそれを言ってのけている辺り、なんとなく、いつものへらっとしたトクと重なる。
トク
「アタシなりに考えたんだけど……これ、中身球体っぽくてさ。マジでスイカかなんかかなーって考えたけど、それにしちゃあ重さはちょっと違う。危険物じゃないって判断は、アタシの偏見かな」
ケイジ
「……へぇ、続けて」
トクはいつになく真剣に、すらすらと意見を述べる。
頭のキレる人ではあったが、まさかここまで深く読んでいるとは…呆気にとられた。
なんだか、親友が役に立っていることが擬似的に私の喜びとなって、自然と口角が上がる。
ケイジさんは面白そうに話に聞き入っている。
トク
「ここに連れてきた犯人側ってさ、かなーり悪趣味な気がするんだよね。わざわざ助かる道を残しておいて遊ばせとく辺り、とかさ。だから…開けたらドッカーン!!とか品がないことしないと思う…なー」
サラ
「すごい推理力だな……」
ナオ
「はえぇー…」
トクの言葉に、また記憶を掘り起こす。
確かに、ここまでで判断できる材料では、誘拐犯はとてつもなく悪趣味だ。
ゲーム感覚で命を弄び、手のひらの上で踊らせているようなイメージを受けられる。
皆感嘆の声を漏らし、トクはその中を掻き分けて箱をケイジさんへと返す。
ケイジ
「……どういうことかな?」
トク
「推理はしたけど、開ける度胸はないんで。お願い出来ます?」
「…オーケー」と返事をして、ケイジさんは丁重に箱を開ける。
それを近くで見守るトクは、気持ち誇らしげだった。
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