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帰り道の会話 ページ11

2人で教室を出る。

「Aちゃーん、また明日ねー!」

「ばいばーい、A!」

仲の良い友達からの挨拶にまた明日、と返して山田くんと並ぶ。
下駄箱に着くまでにお互いの友達からそれぞれたくさん声をかけられ、それに返事をする。

「山南、ダチいっぱい出来たな!スゲェわ。」

感心したような笑い方に兄のような包容力を感じ、お兄ちゃんがいたらこんなかな、と思った。

「私のイケブクロでの友達一号は山田くんだけどね?」

笑いながら言えば、そっか、なんて照れたように言うから可愛いなんて思ってしまう。

「あー…お前さ、前の学校のダチは?どんなヤツだったんだ?」

ヨコハマの頃か。
あの頃はあまり友達がいなかった。
まあ、“友達”というよりは“同志”や“仲間”と言った方が最適な人ばかりだっただけだが。

「…うーん。友達、ねぇ…。」

アイツら、今何してんのかな…。

そう歯切れ悪く呟くと、不思議そうな顔が。

「ああ、気にしないで!憧れてる人がいたんだけど、今は何してんのかなーって!」

「憧れてる人?」

取り繕った笑顔に一瞬だけ、不機嫌そうにした山田くんは私の言葉に聞き返す。

「うん、あのね…!」

私ね、ヨコハマの中でも割と治安の良い所に住んでたんだけど、ある時、海が見たくなって、1人で
海を見に行ったの。
治安の悪い所は避けてたんだけど、うっかり迷っちゃって、変なチンピラみたいなのに絡まれちゃってね。
私が憧れてる人は、その時に助けてくれた人で、私の恩人なの。
あっという間にチンピラ達をやっつけちゃってね!
あの…あれ!ヒプノシスマイク?ってやつで!
すごくカッコよくて、強くて、堂々としてて、優しくて。

なんて、多少の事実を隠しながら言えば、山田くんの目も少なからず輝き始めた。

「その人スゲェな!!ラノベの主人公みてぇ!」

興奮した様子で熱弁する彼に呆気にとられていると、ハッとした様子で謝ってくる。

「悪りぃ…。俺、ラノベとかになるとすげぇ語っちまうんだよな…。悪りぃ。」

テンションの落差に思わず笑う。

「ううん!山田くんがそのラノベが大好きなんだってのは伝わったから!私も読んでみたいな。」

本当か⁈なんてあまりに喜ぶから。
最近感じていた寂しさなんて忘れてしまっていた。

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作者名:ゆかり@神無月 | 作成日時:2018年9月25日 23時

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