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十一 ページ6
部屋に入ると、隅に座っている中也を見つけた
「来るな」
か細く、喉から振り絞られたような声
「何が怖いの?」
「…自分…」
「…君は一度死んだ。私や太宰が望んでいるものを味わったんだ。これ以上にない嫌がらせだよ。
……今こうして話せているのは、誰のおかげ?」
ゆっくりと顔を上げた彼は、小さな声で、A、と私の名前を云った
「聞こえないなあ」
「手前…」
「手前なんて名前の人、知らないなあ」
「A!!」
怒ったように叫ぶだ彼は、何時もの中也だった
「で?」
私はきっと、とても意地の悪い笑みを浮かべている
「……あり、が、と…」
「よく出来ました」
照れているのか、頬が少し赤くなっていた
彼が死んだと知った時、怖い、悲しいという感情を初めて知った。彼が生き返った時、嬉しいという感情を初めて知った。
今まで人がモノになったのを見ても、何も感じなかったのに、中也だけは違った
これが姐さんの云う、
だとしたら、嬉しい
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作者名:MIA | 作成日時:2017年8月5日 20時