検索窓
今日:17 hit、昨日:0 hit、合計:10,632 hit

ページ9

不意に声をかけられ、私とお兄ちゃんは顔を上げた


口元に短い髭を蓄え、薄笑いを浮かべて杖をついた男が立っていた。何度か見た事がある


面白い、とお兄ちゃんが答えた。私も頷いた


すると男は奇妙なものを見る顔で私達を見た


「変わった子供だ。そんな小説より面白い話が、世の中にはごまんとあるぞ」


私は手許にある小説の表紙をじっと見た。この本を読み返す理由を正しく説明する事は出来ない


「その本、下巻はどうした」


その小説には大きな欠点があった。物語の結末が書かれている下巻が無いのだ


どれだけ捜しても見つからなかった


「下巻は無いの」


「それで心得がいったわ、幸運な奴等め。その小説は下巻がとんでもなく最悪でな。読んだ後頭蓋骨から脳を取り出して水洗いしたくなる様な代物よ。上巻と中巻だけで満足しておけ。それが御前等の為だ」


私達の、為?

四→←二



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
54人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:MIA | 作成日時:2017年7月5日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。