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三 ページ9
不意に声をかけられ、私とお兄ちゃんは顔を上げた
口元に短い髭を蓄え、薄笑いを浮かべて杖をついた男が立っていた。何度か見た事がある
面白い、とお兄ちゃんが答えた。私も頷いた
すると男は奇妙なものを見る顔で私達を見た
「変わった子供だ。そんな小説より面白い話が、世の中にはごまんとあるぞ」
私は手許にある小説の表紙をじっと見た。この本を読み返す理由を正しく説明する事は出来ない
「その本、下巻はどうした」
その小説には大きな欠点があった。物語の結末が書かれている下巻が無いのだ
どれだけ捜しても見つからなかった
「下巻は無いの」
「それで心得がいったわ、幸運な奴等め。その小説は下巻がとんでもなく最悪でな。読んだ後頭蓋骨から脳を取り出して水洗いしたくなる様な代物よ。上巻と中巻だけで満足しておけ。それが御前等の為だ」
私達の、為?
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作者名:MIA | 作成日時:2017年7月5日 21時