二十五 ページ42
「Aさん、五十分経過しました」
「おっけー」
部下の報告で、私達は地下から霊安室へ移動した
霊安室の寝台で眠る綾崎君に手を合わし、自前のメスを取り出す
「出て行かないの?」
部屋の隅で壁にもたれ掛かり、私の方を見ている太宰に訊く
「君の異能力を見るのはまだ二度目でね」
じっくり見たいってわけか。趣味悪いね
気を取り直し、私自身の手の甲を切った
溢れる血を小さな瓶の中に入れ、蓋を閉めて治療の邪魔にならない所に置く
それからは殆ど手術に近いものを行う
心臓が見えてきたら、瓶の中の血を彼の心臓に凡て垂らす
「終わったよ」
彼の皮膚と肉を元に戻し、太宰に告げる
すると、私の手を取り、先程切った傷を確かめようと甲を撫でる
「君にも彼にも、傷跡一つ残らないなんて、不思議な異能力だねぇ
ところで、中也の異能が使えるようになったのって、具体的に如何して?」
太宰の質問に答えるため、当時の記憶を辿った
「治療が終わっても、当人は暫く目が覚めない。痛みなどの感覚も麻痺している。
治療が終わった後首領は、中也に流血させて、その血を私に飲ませた。それだけ」
「不思議だね〜」
不思議だと云いながら感心する太宰。まぁ、悪い気はしない
扉を開けて外で待つ部下に、彼を医務室に運ぶように頼み、私と太宰は、首領の居る執務室へ向かった
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作者名:MIA | 作成日時:2017年7月5日 21時