そしてゼロになる 2【降谷零/安室透】

66.夢をおう ページ21

Aside


ーー映画は、

2人の夢追い人のラブストーリーだった。



ピアニストを目指す彼と、女優を目指す彼女の話。




映画の中に、2人が一緒に映画を見るシーンがあって。

隣同士で座る2人の手が重なるのにつられて、


…つい、零の方をみた。






ぱちりと、零と目が合う。




「俺達も、手でも繋ぐか？」


にやりの笑って小声でそう言う零に「馬鹿」とだけ返して、









ーー暗闇の中、彼と指を絡めた。




〜･〜･〜




映画が終わったあと、


人の波が落ち着いてから、2人で丘を降りた駐車場まで向かう。



映画は素敵だった。素直なハッピーエンドではなかったけど。


最初は同族嫌悪のようにいがみ合っていたふたりがいつしか恋に落ちて、

互いの夢を応援しあって……



…それでも、2人は、互いの夢のためにすれ違い始めて、

最後には別れることを選んでしまう。



なんとなく物悲しい最後だったけど


なんだか自分のことに重なって、





『…別れて、くれないか。』



零にああ言われて、

仕事のためだと割り切るしかなかった。


零も私も、プライベートを優先できるほど余裕のある仕事じゃない。



だから、ほんとは言いたい言葉がたくさんあったのに、全部飲み込んで。



でも、ほんとはずっと、



「…ずっと、隣にいてほしいって、言いたかったの。」





ー･ー･ー



割とネタバレになりそうなので、映画のタイトルは伏せさせていただきます。


該当の映画を見られた方には分かるかと…。

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