再会 ページ9
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飛行試験翌日。
登校中にクララとアズくんに捕まり、今は入間くんが来るのを待っている。
噂によれば、入間くんは馬車で登校しているのだとか。
さすが理事長の孫は違うんだな、と思いながらぼんやりしていたとき。
校門前に馬車が現れた。
「入間ち来た!」とクララが横で叫ぶ。
馬車は校門前で止まった。
中から理事長と、もう1人誰かが。
赤毛を三つ編みで束ねた、中性的な顔立ちの悪魔……
「……まさか」
全身にブワッと鳥肌が立つ。
速まる鼓動も 流れる汗も どうでもいいほど私は、馬車から現れたあの悪魔が気になって仕方がなかった。
髪色が変わっているが、私にはわかる。
ピンと立った耳、手入れされたしっぽ、表情筋の動かない顔。
思い返せば返すほど、あの悪魔は私の探していた悪魔に一致していく。
そして聞き覚えのある声で、あの悪魔は大きくハッキリと言ったのだ。
「入間様のおなーりー!!」
赤毛の悪魔はレッドカーペットを敷き、どうぞ、と入間に進むよう促した。
困り果てている入間くんにカバンを渡す理事長。
あまりにも目立っていて混ざりにくい。
なのに、アズくんもクララも躊躇なく入間くんの元に駆け寄って行く。
最終確認をしたくて、私も慌てて後を追った。
「入間様! 流石です、素晴らしい登校でした!」
と入間くんに寄るアズくん。背後からクララが襲いかかろうとしているにも気づかず。
絨毯に巻かれたクララはそのまま入間に「お早う入間ち!」と挨拶をし、アズくんに怒られていた。
入間くんはというと、しゃがみこみ暗い顔を浮かべている。
というか、そんなことより。
クララに巻きついた絨毯を剥がす。
心臓がうるさい。
確認するだけなのに、妙に緊張してしまう。
何年ぶりだろうか…この
恐る恐る絨毯を渡し、顔をのぞき込む。
その瞬間、ドキリ、と今までで一番心臓が大きくはねた。
この懐かしさを感じる、鋭い目つき……間違いない。
私がずっと探していた悪魔だ。
「ありがとうございます」
しかし、相手はどうやら気づいていないようで。
淡々とした様子で絨毯を受け取られ、踵を返された。
しかし、このままで終わらせるか、と急いで呼び止める。
「あ、あの!」
「…何か御用で?」
「えっと、その…」
なんて言えばいいのだろうと迷っていたその時。
「A、行くよー!」
クララに呼ばれてしまった。
今問いただすのはやめよう。唇を噛み、踵を返した。
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ペグ(プロフ) - あまねさん» あまねさん、コメントありがとうございます!ご期待に添えるよう、精進します!·͜· ꕤ︎︎ (5月10日 16時) (レス) id: a660ffe1a2 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 好きですぅぅ (5月9日 9時) (レス) @page45 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ペグ(プロフ) - めぇちゃりおる.⁠。⁠*⁠♡さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!多忙期により更新が不安定ですが、暖かい目で見守ってください₍ᐢ‥ᐢ₎ ♡ (2月15日 15時) (レス) id: a660ffe1a2 (このIDを非表示/違反報告)
めぇちゃりおる.。*♡ - この作品読んだ瞬間お気に入りになりました!!更新も楽しみにしてます! (2月15日 14時) (レス) @page26 id: 094e17a662 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ペグ | 作成日時:2024年1月30日 22時