勘違い ページ25
．
「どうぞ、お掛けください」
と、運ばれた椅子に座るよう促され、そっと腰掛ける。
小さなテーブルの上にティーセットが運ばれるのを、ただじっと眺めていた。
「…どういうつもりですか」
「先日の件について、お話があります」
「私は話すことなんてありません」
「私はあります。座っていてください」
「…お互いのため、手短にお願いします」
差し出された紅茶に口をつける。
甘い、何が入ってるんだろう。砂糖…ではない。蜂蜜か？
なんて考えていると、オペラさんは紅茶も飲まず、話を切り出してきた。
「先日は申しわけありませんでした。腹が立ったとはいえ、大人げなかったと反省しています」
「……な、なんのつもりですか」
突然の謝罪に、思わず動揺してしまう。
からかっているのだろうか。
しかし、オペラさんは私に体を向け、決して目をそらさない。本気なんだ、と私も体を向き直す。
「私は貴方との間にできたしがらみを、無くしたいだけです」
「無くしてどうするんですか？ 私のこと、嫌いなくせに」
「嫌い…？ 私がいつ、貴方に嫌いなんて言いました？」
「はぁ？ 言ったじゃん嫌いって！ 自分で言ったくせに、覚えてないの？」
眉を寄せ首を傾げるオペラさん。
そんな態度に腹が立ち、声を荒らげてしまった。
ふざけてんの？ と喉元まで出かけたが、そんな様子ではない。
取り敢えず冷静になろうと、椅子に座り直す。
「すみません。本当に私は"嫌い"と言いましたか？」
「たしかに言いました！ 迷惑ですって」
「迷惑って……まさか貴方、迷惑=嫌い、と認識してるわけじゃないですよね？」
「……？ それの何が違うの？」
その瞬間、オペラさんは頭を抱えたまま、深くため息をついた。そして、「ここまで偏っていたとは…」と吐き捨てるように言った。
失礼だな、と顔を顰めたまま紅茶に口をつける。
ゆらゆら揺れる水面を眺めていると、オペラさんはパッと頭を上げ、言った。
「まさか、ここまで貴方の考えが偏っているとは思いませんでした」
「…バカにしたいんですか？」
「いいえ。でも、迷惑です=嫌い となると……貴方、物を拾ってくれた=好き、と思ってません？」
「……え、違うんですか」
そう言うと、オペラさんはまた深くため息をついた。
「そんな態度を取られるなら、私は帰ります」と席を立った瞬間、ぐいっと腕を引かれ、阻止された。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 72人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ペグ(プロフ) - あまねさん» あまねさん、コメントありがとうございます！ご期待に添えるよう、精進します！·͜· ꕤ︎︎ (5月10日 16時) (
レス) id: a660ffe1a2 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 好きですぅぅ (5月9日 9時) (レス) @page45 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ペグ(プロフ) - めぇちゃりおる.⁠｡⁠*⁠♡さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！多忙期により更新が不安定ですが、暖かい目で見守ってください₍ᐢ‥ᐢ₎ ♡ (2月15日 15時) (レス) id: a660ffe1a2 (このIDを非表示/違反報告)
めぇちゃりおる.｡*♡ - この作品読んだ瞬間お気に入りになりました！！更新も楽しみにしてます！ (2月15日 14時) (レス) @page26 id: 094e17a662 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ペグ | 作成日時：2024年1月30日 22時
