嫉妬心 ページ20
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「だめだ…やっぱりあの
「Aー! Aも一緒に特訓しよー!」
「はいはいちょっと待ってね……え、なんか増えてる?」
声のする方に目をやり、思わず二度見した。
いつのまにか人数が増えていた。
ボールが真っ二つになったり、岩が割れたり氷が出たりと大惨事。
「早くー!」と急かされるも、こんな状況で練習など冗談じゃない。怪我を増やす前にこっそりその場を抜け出した。
というか、そろそろ授業の時間じゃないか。
遅刻したのだから真面目に受けようと教室に向かった。
しかし、教室にカルエゴ先生の姿はなかった。
予鈴もだいぶ過ぎてたし、みんなを探しに行ったのだろうか。
席につき、ス魔ホをつつき時間を潰す。
笑える動画や考えさせられる画像など適当な動画を眺めていた時、母から魔インが入ってきた。
〈今日は帰れないから適当にご飯食べて〉
代わり映えのない内容に、適当なスタンプで返事をする。
うちの母は、心を病んだ父の代わりに働いてくれている。
仕事内容はあまりいいものとは言えないが、給料が高いので我が家の家計が成り立っている。
勿論、私も短期契約のアクバイトをしたりと少しでもお金を稼いでいる。働かず家に寝たきりなのは父だけだ。
天界を追放されてから、父は変わってしまった。
あんなに明るく優しかった父は、ストレスでぱつぱつに太り、髪はフケだらけ、髭は伸ばしたまま、お風呂にも入らず歯も磨かない。完全な不清潔男になってしまった。
父にベタ惚れだった母も幻滅したのか、今では仕事でできた男といる方が楽しそうだ。
ス魔ホを閉じ、窓の外を眺める。
すると、入間くんと理事長が口内から出て行く姿が見えた。
相変わらず仲がいいんだな、と少し羨ましく感じる。
両親と歩いた記憶はあるはずなのに、ぼんやり霧がかかって思い出せない。
「いいなぁ入間くんは……」
私のほしいものを、彼は全て持っている。
贅沢な食事、清潔に保たれた服、たっぷりと注がれている、身内からの愛情。私の恩人、オペラさん。
いつしか入間くんへの感情が、憎悪で埋め尽くされたらどうしよう。悪くもない人を恨むほど、愚か者にはなりまくない。
なのに、もう既に入間くんに嫉妬心を抱いている。
どこまで私は自分を嫌いになればいいのだろう。
机に突っ伏し、まだかすかに痛む目を閉じた。
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ペグ(プロフ) - あまねさん» あまねさん、コメントありがとうございます!ご期待に添えるよう、精進します!·͜· ꕤ︎︎ (5月10日 16時) (レス) id: a660ffe1a2 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 好きですぅぅ (5月9日 9時) (レス) @page45 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ペグ(プロフ) - めぇちゃりおる.⁠。⁠*⁠♡さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!多忙期により更新が不安定ですが、暖かい目で見守ってください₍ᐢ‥ᐢ₎ ♡ (2月15日 15時) (レス) id: a660ffe1a2 (このIDを非表示/違反報告)
めぇちゃりおる.。*♡ - この作品読んだ瞬間お気に入りになりました!!更新も楽しみにしてます! (2月15日 14時) (レス) @page26 id: 094e17a662 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ペグ | 作成日時:2024年1月30日 22時