…何なの、此の光景。 ページ3
「え…何、此れ?」
自らの上司に報告すべく執務室へ向かったAは、目の前に起こった光景に言葉を失っていた。
「うわぁぁぁ!!どこだよここ!!」
何処から来たのかも判らない4歳位の幼児が大泣きしているのだ。しかも、姿は上司…中原中也にそっくりである。
「え、だ、誰なの、君?」
Aが何とか声を振り絞ると、幼児はびくりと肩を揺らした。
「だれだ、てめぇ…。」
幼児だと云うのに纏う殺気は本物である。
幾度となく其れを浴びてきたAは直ぐに誰の殺気か分析出来る様になっていた。
「…中也、さん…?」
其の言葉と同時に、彼が異能を発動する。
制御も何も知らず、純粋に力を向けた相手を殺そうとしているのが良く分かった。
「…かはッ…」
間違い無い、彼は中也だ。
異能を喰らってみて、其れは確信に近くなっていた。
周囲の重力が変化し、身体が微塵も動かない。
だが…
「てめぇ、どこでおれのなまえをきいた?」
「あぐッ…」
記憶を失っているから、彼は何の躊躇いも無くAを殺そうとしてくる。
元々の異能が強い上に敵意を向けられれば、幾ら幼児と云えど殺される可能性だって充分にある。
「こたえろ。」
「大、丈夫…。君の命を狙ったりなんて、しないから…。」
警戒を解く様に、Aは両手を広げてみせる。そして、其の儘中也を抱き締めた。
「ッ!?やめろ!!」
「中也、大好きだよ。私は君を殺したりなんてしない、出来ないよ。」
子供だと云うのに、こんなにも大人びて。
こんなにも人を警戒して。どんな目に遭ったのだろう。
「…御免ね…君に辛い思いをさせる事なんて、消えちゃえば良いのに…。」
「なんで、てめぇがなくんだよ…。」
困惑気味に、彼は優しく頭を撫でてくれる。
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もも(プロフ) - 七巳流さん» ありがとうございます!! (2022年8月3日 12時) (レス) id: 2c3a67174c (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - 完結おめでとうございます、楽しかったです、読んでいて。 (2022年8月3日 12時) (レス) @page11 id: 625ec01e21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作成日時:2022年7月28日 23時