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場所は変わり十五番街の倉庫。
私達は此処で虎が来るのを待っている




「……お二人は何を読んでいるンですか?」


「善い本」




そう口を揃えて私達は云った

私達の手には其々
“完全自i殺読本”と“善い人生の歩み方”が
持たれている




「こンな暗い中でよく読めますね」


「私達眼は良いから。
其れに内容はもう全て頭に入ってるし」


「じゃあ何で読ンでるんですか」


「何度読んでも善い本は善い本なのだよ」




そう云い切ると敦君は少し黙り、復口を開いた




「本当に虎は現れるンでしょうか」


「現れる。其れに現れても私達の敵じゃ無いよ
こう見えても、武装探偵社の一隅だ」


「凄い自信ですね、なんか羨ましいです。

僕なんか、孤児院でも
ずっとダメな奴って云われてて

其の上今日の寝床も
明日の食い扶持もしれない身で

確かにこんな奴が何処で野垂れ死んだって
誰も気にしない。

否、いっそ虎に食われた方が……」


「却説、そろそろかな」




其の時、ガシャンと大きな音を立てて
何かが落ちる音がした




「い、今奥で物音が!」


「そうだね」


「屹度奴ですよ!」


「否、風で何か落ちたのだろう」


「人食い虎だ!
人食い虎が僕を食いに来たンだ‼」




パニック状態になっている敦君を
私は宥める




「落ち着いて敦君。
虎はあんな処からは気はしない」


「何で判るんですか!!」


「抑も変なのだよ
経営が傾いたからって児童を追放するかい?
大昔の農村じゃ無いんだ。

否第一、経営が傾いたのなら
一人二人追放しても何にもならない

半分くらい減らして他所の施設に移すのが筋だ」


「何を云ってるんです?太宰さん」


「君が此の街に来たのが二週間前
虎が此の街に現れたのも二週間前

君が鶴見の辺りに居たのは四日前
同じ場所で虎が目撃されたのも四日前

A」


「はいはい」




そう云い乍私は填めていた手袋を脱いだ




「A、さん…?」


「御免ね敦君。まあ兄さんが居るから
________異能力 パンドラの匣」




そう云い私は敦君に素手で触る。
其の瞬間、私の手から出た文字の羅列に
共鳴する様に敦君の躰から文字の羅列が生まれた

捌→←陸



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はなを(プロフ) - みつばちさん» コメントありがとうございます!そう言ってくださり嬉しいです! (2019年8月9日 1時) (レス) id: e980c2186f (このIDを非表示/違反報告)
みつばち(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張ってくださいね(^_−)−☆ (2019年8月9日 0時) (レス) id: f3e59d4450 (このIDを非表示/違反報告)
はなを(プロフ) - ルルナナです!さん» ありがとうございます!コメント本当に嬉しいです! (2019年8月7日 21時) (レス) id: e980c2186f (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナです!(プロフ) - 更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年8月7日 20時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)
はなを(プロフ) - 銀桜さん» コメントありがとうございす!是非頑張らせていただきます! (2019年8月7日 18時) (レス) id: e980c2186f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はなを | 作成日時:2019年8月7日 11時

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