弐 ページ22
.
「……此れは全て、君の企みかな?」
Aの居なくなった後
異様に冷たい声が届く
矢張りAは鴎外殿に話さなんでいたか
「偶然じゃ本当に。
Aから『観覧車に乗りたい』
と聞いた時は
然も寄りにも寄って観覧車とは愛いのう」
そう笑うと鴎外殿の目は一層冷たく私を刺す
「……君は確か
六年前のあの事を知っているね」
「…嗚呼」
「なら何故こンな事をするのかな」
初めてじゃな。鴎外殿の真の言葉を聞いたのは
…矢張りあの事が全ての引き金が
じゃがのう
「六年、六年経った。もう良かろうに
Aはもう大丈夫じゃ
信じて送り出してやれ」
鴎外殿の六年に渡るAへの軟禁は
全てAへの純粋な愛によるもの
一見歪んだものにも思える其れは
親の愛そのもの
「駄目なのだよ紅葉君。何故ならAは____」
◇◆◇
「失礼します梶井君。秘書のAです」
分厚い合金製の扉を叩きそう云うと
笑い声と一緒に扉が開いた
「ウハハハハハハッ!
我が宇宙大元帥の使徒、藍の女神殿ではないか!
此の化学の申し子に何の御用かな?」
何度話しても此の独特な彼の空気は慣れない
と云うか何なのだ藍の女神とは
「……鴎外さんから出撃の指令が出ています
決行は明後日。中也君と組んでもらいます」
「ウハッウハハハハッ!
明後日!何と急遽!流石宇宙大元帥!!」
と大声で叫びながら檸檬を取り出すものだから
「ちょ、此処で爆破は止めてください」
「む、女神の云う事ならば控えよう」
間合いが掴み辛い…
梶井君は
「標的ですが、砂の砦と呼ばれる犯罪組織です。
先日砂の砦は殲滅したと______
「仰せの儘にィ!!
では早く
「えっ、あの一寸!」
「其れでは!藍の女神殿!!
ウハハハハハハッウハハハハハハッ!」
そう云って分厚い扉は閉まった
砂の砦は殲滅したって云う鴎外さんからの御達し
聞いてないのかな
首を傾げ乍私は執務室に戻った
392人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗(プロフ) - 15ページ 中也君な ではなく 中也君の ではないでしょうか? (2021年5月24日 7時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ザック - 面白かったです。ミステリアスで、文も読みやすかったです。ありがとうございました! (2020年1月8日 19時) (レス) id: fc99185244 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - あれ?なんでだろう、目から塩水が (2019年8月12日 12時) (レス) id: 610253a17e (このIDを非表示/違反報告)
はなを(プロフ) - 幸人さん» コメント、そしてお気遣いありがとうございます!これからの展開にどうぞご期待ください! (2019年6月21日 18時) (レス) id: e980c2186f (このIDを非表示/違反報告)
幸人 - とっても面白いです。無理をしない程度に更新頑張ってください。 (2019年6月21日 8時) (レス) id: fa5f2782df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はなを | 作成日時:2019年6月17日 18時