【文スト】森鴎外の秘書 弐

伍 ページ19

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「赤い頸飾り(チョーカー)だったのに
リンタロウがこンなに赤を描き足したの！
非道いと思わない！？」


「エリスちゃぁん…」


「……確かに鴎外さんが悪いかもしれないけど
態とやった事じゃないし、現に凄い謝ってるし

今回ばかりは赦してあげても善いンじゃない？」




私はしゃがみ、エリスちゃんに目線を合わせて
そう笑顔で云った




「えー…」


「A…！」


「鴎外さんだって見間違える事だって有るよ
だって沢山の報告書を終わらせた後だもの」


「…あっ」


「ね？鴎外さん」




立ち上がり満面の笑みで鴎外さんを見た
鴎外さんは引きつった顔で私を見る




「鴎外さん。エリスちゃんと
お絵描きするって事は
勿論報告書の作業は終わったンですよね？」




そう云い乍笑顔を崩さず鴎外さんに近づく




「否、其の…」


「鴎外さん。今が如何云う状況か判ってます？」


「えっと」


「早く報告書を終わらせてください！！」


「わ、判ったよ！」




私が大声を出すと鴎外さんは急いで
机に着きペンを走らせた




「Aが恐いよ…」


「当たり前です。此方は真剣に考えているのに
仕事もせずお絵描きしてるなンて」




そう云い乍私は紅茶を一杯淹れ
椅子に座りお茶を飲んだ




「えっ、私の分は？」


「働かざる者飲む可からず
終わったらお淹れします」




ツンとそう云い放ち復お茶を飲む
嗚呼美味しい




「リンタロウ良い気味よ」


「エリスちゃんも飲む？」


「牛乳割り(ミルクティー)が良いわ」


「二人とも酷いよぉ」




今日も夜が更けていく

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