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「失礼します。秘書のAです」




何だかんだ言い包められ
私は今姐さんの執務室前に立っている

鴎外さんの計らいなのだろうが
私としては非常に彼方が気がかりでならない




「開いとるぞ」




扉の向こうでそう聞こえる
私は“失礼します”と云いながら部屋に入った

姐さんは楽しそうに茶会の準備をしていた




「久しいのうA」


「任務お疲れ様です、姐さん」




私と姐さんは二歳差、
元々は“紅葉さん”と呼ンでいたが

中也君が“姐さん”と呼び始めてから
巫山戯て私も姐さんと呼ぶようになった




「ちと鴎外殿の幹部使いが荒くてのう」


「姐さんを見込んでの事ですよ」


「聞いたぞ、躰を壊したそうじゃな」


「躰を壊したって…只の風邪ですよ
然も風邪“気味”だし」




そう云い用意された椅子に座る
本当にもう、過保護と云うか何と云うか

目の前のカップに紅茶が注がれ
私は“有難う御座います”とお礼を云った




「そう云えば、今日は鏡花ちゃんが居ませんね」


「鏡花は任務じゃ。
三人でしたかったのじゃがのう」




泉鏡花。最近マフィアに入った十四歳の暗殺者
異能力は夜叉白雪、姐さんと同じ(タイプ)の異能力

私は入れてくれた紅茶に口を付ける




「いやはや、優秀な構成員が増えて
有り難い限りですよ」


「ふふ、世迷言を
Aが出れば何も問題なかろうに」


「其れが最近はメッキリ無くなりましてね
今はひたすら机と計算機(パソコン)と睨めっこです」


「…」




姐さんの表情に一瞬違和感を感じた




「如何しました?」


「否、何でも無い。ほらもっと飲め飲め」




そう云い未だそンなに飲んでいないのに
紅茶を足される




「茶菓子も有るぞ」


「わぉ、美味しそう」




中央に有った籠の蓋を開けると
綺麗なケェキが並んでいた

姐さんは私の皿に一つ載せると
席を立った




「済まぬ。茶葉を切らした故取ってくる」


「良いですよ、私が行きます」


(わっち)がお主を呼んだのじゃ
客に其の様な事は出来ぬ

少しばかり待ってておくれ」




そう云い姐さんは部屋を出て
私は一人取り残された

参→←茶会



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(プロフ) - 15ページ 中也君な ではなく 中也君の ではないでしょうか?  (2021年5月24日 7時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ザック - 面白かったです。ミステリアスで、文も読みやすかったです。ありがとうございました! (2020年1月8日 19時) (レス) id: fc99185244 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - あれ?なんでだろう、目から塩水が (2019年8月12日 12時) (レス) id: 610253a17e (このIDを非表示/違反報告)
はなを(プロフ) - 幸人さん» コメント、そしてお気遣いありがとうございます!これからの展開にどうぞご期待ください! (2019年6月21日 18時) (レス) id: e980c2186f (このIDを非表示/違反報告)
幸人 - とっても面白いです。無理をしない程度に更新頑張ってください。 (2019年6月21日 8時) (レス) id: fa5f2782df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はなを | 作成日時:2019年6月17日 18時

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