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ジャン「おい、泣くか食うかどっちかにしろ」
そういうジャンの声にフォークに突き刺した肉をおく。
A「だっで……肉なんて、肉なんて………おいしい」
自分でも何を言っているのかわからないが、久しぶりの肉汁に涙腺が壊れたようだ。
ジャン「わかった、わかったからこっち向け」
いつも常備してあるハンカチを鼻に押し付けてくるジャン。
ジャン「そんなに泣いてちゃせっかくの肉が鼻水の味になっちまうだろ」
A「……ゔん」
確かにそれは大問題だ。
急いで涙を拭う。
マルロ「———なぜ、俺たちが後衛なんだ」
その時、不満げな声が耳に入る。
難しそうな声色で、議論を促すような話し方だった。
ジャン「だから、お前はまだ何の経験もないからっつてんだろ」
それに、怒ったように返すのはさっきまで私の方を向いていたジャンだ。
マルロ「確かに、俺はまだ弱いがだからこそ前線で敵の出方を探るにはうってつけじゃないか」
その勇気ある言葉に私はそっとマルロの方を見る。
初陣の時の私は恐怖で指先が震えていたのに彼は違うようだった。
ジャン「なんだ？一丁前に自己犠牲語って勇敢気取りか？」
マルロ「しかし、その精神がなければ全体を機能させることはできないだろう」
その台詞にその場にいた私たちはため息をつきたくなる。
彼は犠牲と死を美化しすぎだ。
ジャン「あのな、誰だって最初は新兵なんだ。新兵から真っ先に捨て駒にしてたら次の世代に続かねぇだろ。だから、お前らの班は後ろから見学でもして生きて帰るのが仕事なんだよ」
そうだ、私たちもそこから始まった。
初陣では比較的安全な立ち位置にいたし、普通の巨人と相対しても、先輩方は私たちを守るように動いてくれた。
そのせいか、死んでしまった人も多く見てきた。
現に“あの塔”にいた先輩方は私たちを庇うように巨人と戦っていた。
そうやって調査兵団は脈々と続いてきたのだろう。
ジャン「ま、一番使えないのは？1にも2にも突撃しかできねぇ死に急ぎ野郎だよ。なぁ？」
エレ「ジャン、そりゃ誰のことだ？」
いつもの軽口にエレンが乗ってくる。
ジャン「お前以外にいるかよ、死に急ぎ野郎は」
エレ「それが、最近分かったんだけど俺は結構普通なんだよな。そんな俺に言わせりゃ、お前は臆病すぎだぜジャン」
エレンとジャンの間に挟まれたアルミンが何かを察したように顔を顰めた。
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作者名：ラーメン x他1人 | 作成日時：2024年4月2日 4時
