雪の降る日に捨てられた悪魔 (ページ10)

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アズ「そうですか…あぁ、どうぞ私のことは"アズ"とお呼びください」

それはそれは爽やかな笑顔でアスモデウスくんは"イルマさま"にそういった。

A「そっかぁ、アズかー。よろしくね、じゃあ早速だけど他の人の邪魔になってるから歩きながら話そうか」

だが、私が呼んでは行けないというルールは無い。

目立ちたくないイルマさま、こんなところにいては嫌でも目立ってしまうだろう。

アズ「貴様は？」

アズは低い声で呟く。

A「私はA、イルマさまのSD(見習い)です。気軽にAって呼んで｣

軽く自己紹介をするとアズくんは瞳を輝かせる。

アズ「イルマさまの!!」

SDとは誰よりも主人に近い、盾でもあり矛でもある存在。

憧れを抱かれたのだろうか。

何はともあれ、彼が私に抱く印象はそこまで悪くなさそうだ。

───
イルマ「えっと、何処へ行くんだっけ？」

アズ「イルマさまとAは私と同じグループですね｣

A「普通なら教室だけど、今日は使い魔召喚の儀もあるので使い魔の間へ行きましょうか。」

イルマ「使い魔？」

アズ「はい、バビルスの伝統行事です。入学したら皆自分で魔獣を召喚し家来にするのです。そこで召喚した使い魔のレベルで生徒のランクを測ります。」

イルマ「へぇ、そうなんだ」

A「担当官の先生も怖いで有名なんですって───」

嫌ですよね、そう言おうとした時、使い魔の間の正面扉が勢いよく開いた。

カル「粛に。監督官のナベリウス･カルエゴである。」

登場したのは冷徹そうな瞳を持った監督官。

絶対に目立たないようにしよう、今度は私が心に誓った。

しかし、数秒後私は吹き出す。

冷徹無慈悲そうな男が取り出した使い魔召喚講座のボードを見てだ。

真っピンクの可愛らしいボードの中でピンクのハートが使い魔召喚のやり方を1から説明している。

非常にファンシーだ。

似合わねぇ、と心の中でつぶやく。

そんなことはカルエゴ先生も分かっていたようで、説明が終わったあと直ぐにそのボードは叩き落とされた。

嫌いだったんだなぁ、と思いつつ召喚用の羊皮紙を貰う。

順番を待ちながら見学をする。

A「おぉ、アズアズくんはゴルゴンスネーク。さすが名門アスモデウス家の嫡男、超レアなんですよ」

指をさして、解説する。

イルマ「そうなんだ」

カル「次！A｣

呼ばれて私は前へ進んだ。