雪の降る日に捨てられた悪魔 (ページ6)

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A「行ってらっしゃいませ〜!!」

準備があるサリバンさまを送り出して

A「行ってきます」

保護者である兄さんに別れを告げ

A「それでは、魔入りましょう」

不安げなイルマさまに声をかける。

イルマ「…本当に食べられちゃったり、しないかな？」

小声で固まるイルマさま。

あらぁ、小動物のようで大変可愛らしい。

A「ご安心下さい。私こう見えてもサリバンさまのSDを志す者。何かあったらイルマさまのこともお守り致します。不安でしたらお手をどうぞ」

恭しく手を差し出す。

イルマさまは手をとるかどうかも悩み、掴もうとしたりやっぱりやめたり、そわそわしていた。

ので、勝手にパシッと掴み前に進む。

A「大丈夫です、胸を張って。貴方様は三傑の孫、誰も手は出せません」

そう言って微笑むとイルマさまは少しだけ体の筋肉を弛めて、歩き始めた。

ーーーー
「おい、なんかいい匂いしないか？」

むさ苦しい獣の悪魔に囲まれてイルマさまは顔を青くする。

A「大丈夫、大丈夫｣

そう言ってから耳元に顔を近づける。

A「多分、私の方がこいつらより強いですから」

普段、格上という言葉では表せられないほどの格上に鍛錬をつけてもらっているのだ。

こんなやつら、恐るるに足らず。

そんなこんなで迎えた6時6分。

「一同起立」

その声とともに入学式が始まり、校歌の伴奏が聞こえてくる。

反射的に立ち上がり、大きく高らかな声で校歌を歌う。

まぁ、しかし、歌詞の内容は余計イルマさまを萎縮させたみたいで、表情が「絶対に目立たないようにしよう」と物語っていた。

まぁ、しかしそれは難しいだろう。

なぜなら

サリ「イルマく〜ん、おじいちゃんだよ〜!!｣

貴方の祖父はサリバンさまであるからです。

因みに、私は入学式で絶対に余計なことを言わないようにと前々からしつこいくらいに釘を指していたので心配はないだろう。

サリ「そして、孫のイルマくん達と撮った1枚がこれで〜す!!」

それはもう嬉しそうにサリバンさまは1枚の写真を皆に見せつけた。

A「ッ!?!?!?」

私は自分の目を疑う。

だって、その写真には入学式の看板の横で完璧なポーズを取っている私と、控えめなピースをしているイルマさまと、孫にデレデレしているサリバンさまが映っていたから。

A「失敗したッ、ツーショも撮らせとけば良かった…｣

静かに舌打ちをする。

嫌でもサリバンさまの事だ。

ツーショを撮っていたとしても、この写真を選んだだろう…。

詰めが甘かった。