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パッと明かりが消える。
ジジジっと音がなり、ステージにスポットライトが向く。
何も無かったはずのステージの上では、様々な楽器を構えた魔ーケストラ師団の団員が楽器を構える。
指揮者がどこからともなく、現れ観客に一礼。
団員の方を向き直し、ある生徒の方を見る。
目と目を合わせ、呼吸を合わせる二人。
艶やかに振られる指揮棒。
スゥ、と指揮者が息を吸い込んだ瞬間に演奏は始まった。
演者はそれはそれは悲しそうに曲を引いている。
まるで、寒い寒い冬に囚われているかのようだ。
ふ、と他の楽器の音色が彼女の演奏に息を吹きかける。
ほんの少しだけ、彼女の表情が和らいだ。
音色の数は段々と多くなり、冬から春へ、春から夏へ、夏から秋へ、そして秋から冬へと移ろっていく。
彼女は目まぐるし変化に動揺していた。
春には滑るように滑らかな音に。
夏には駆け出したくなるような跳ねる音。
秋には深みのある穏やかな音。
冬には不安定で心細い音を出した。
そのサイクルが幾重にも幾重にも続き、やがては幾千の人々の物語となっていく。
僅かな時の中、悪魔は必死に生きてる。
それを、表せるような演奏であった。
──────
席いっぱいの客。
ホールいっぱいの拍手。
その全てに、魔ーケストラ師団は深く深く頭を下げた。
努力が報われた瞬間だ。
───あぁ、音楽ってこんなに楽しかったんだ。
少女は思った。
そして、心をうわつかせる。
A「はやく、兄さんのところに帰らないと」
素晴らしかったと、撫でられる未来を確信する少女。
早々にミーティングを終えホールを出る。
彼女の瞳は満足感で溢れている。
少女の初めての師団パーティーは
───楽しかったぁ。
その、一言で閉めることができる。
少女の家族は、愛らしい表情で駆け寄る少女を抱きとめずにはいられないだろう。
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テト(プロフ) - ヴァイオリン弾いてる夢主ちゃん、、、私直視したら失明するかもな、、、 (1月2日 1時) (レス) @page35 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラーメン x他1人 | 作成日時:2023年12月6日 0時