雪の降る日に捨てられた悪魔 (ページ39)

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前夜祭も程々に周り、早々に魔ーケストラ師団の拠点へ戻ろうと歩みを進めていた時。

魔ーケストラは出来上がったものを披露するのではなく、皆の奏でる音をその場で造りあげるものだ。

だから、本番ギリギリまで自分の技を磨くことが出来る。

魔ーケストラ師団の皆はそのため必死になる。

エリザベッタとついつい話し込んでしまい、時間がギリギリだ。

急がなくては、と色々な屋台が立ち並ぶ通りを駆け抜ける。

───それは一瞬のことだった。

A「ぐふっ…｣

体への衝撃と乙女らしからぬ声が漏れる。

何にぶつかったのだと前を見れば、そこには何も無い。

A「あれ…？｣

思わず手を伸ばすと、そこには何かがあった。

文字に起こすのなら"透明な壁"と書くべきなのだろう。

しばらく混乱していると、放送が始まった。

ダリ「はいはーい、生徒の皆さん聞こえる？
びっくりしたかなぁ、しかし安心召され〜。
これは魔術開発師団とゲーム師団が共作したサプライズイベントだよ。学園全体が、迷路だ!!
透明な壁を進み、ゴールを目指せ!!
ゴールは中央広場だ!!｣

そこまで言って放送は途切れる。

A「えぇ…｣

正しい道が分からないので、私は中央広場へ向かうしかないのであった。

──────
A「エリザベッタ!!」

5回ほど壁に頭をぶつけたどり着いた中央広場。

エリザ「Aちゃん!!｣

A「もー、びっくりしたよね。大丈夫？怪我ない？」

エリザ「大丈夫よ、それよりもあっち見て。
魔獣師団のサーカスよ」

エリザベッタは興奮したように正面を指さした。

確かにそこでは魔獣師団がサーカスをしている最中だった。

心の奥底では、何かあったんだろうな、とこれまでの経験から嫌な雰囲気を感じとっていたが私は此処では１生徒で、前夜祭を純粋に楽しむ資格がある。

だから、

A「もっと、前に行こう!!｣

面倒くさいことは大人が解決してくれればいいのだ。

なんてったって、私はまだ子供なのだから。