雪の降る日に捨てられた悪魔 (ページ37)

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イルマ「はっ…ほっ、、あぁ‼︎」

A「イルマさま落ち着いて、回り込みますよ‼︎」

珍しくサリバンさまのいない夕食を終え、食後のゲームの最中。

りりりりりっ、と電話のベルが鳴り兄さんはいったんその場を後にして＿＿

A・イルマ「尻尾に負けたっ…」

＿＿尻尾で参戦していた。

＿＿＿
師団パーティーを数日後に控え、一年生たちはとってもソワソワしていた。

カル「貴様ら、もう少し落ち着け」

それは私も例外では無く

A「だって、久しぶりのソロなんですよ？」

リード「うち、両親見にくるんだ」

ジャズ「うちは兄」

エリザ「Aちゃんは？」

A「うちは兄さんと＿＿＿」

そこでふ、と思い出す。

昨日こっそりと告げられた兄さんの言葉。

『サリバンさまは今魔官署にて取り調べを受けているそうです』

A「＿＿もう一人は未定かなぁ」

間に合うかどうか微妙だろう。

わいわいと誰がくるのか話し合っていたのに

カル「粛に、家族の前で恥を晒さんため励めアホども」

カルエゴ先生の声が邪魔をする。

はーい、という返事と共に私は宿泊申請書を提出した。
＿＿＿＿

通常時の師団活動時間の終わりを知らせる“合図”が鳴る。

A「今日もいい音色」

私は外から鳴る“トランペット”の音に耳を傾ける。

師団活動が終わるこの時間帯にいつも学校内に響き渡るこの音に私は酷く感銘を受けていた。

A「ピクシー(・・・・)、か」

窓から顔を出して音色に耳を澄ませる。

「誰なんだろうな、ピクシー。うちの師団に入ってくれたら絶対いい賞取れんのにな」

隣で同級生の悪魔が呟く。

A「ねー、でもピクシーの演奏って何処か寂しくない？」

「あー、楽器ひとつだからか？」

A「そうかも」

私はそう言って窓のそばから離れる。

机に置いていたヴァイオリンを手に取って構える。

A「もっと賑やかにしてあげよっか」

ピクシーの奏でる音に合わせて私もヴァイオリンを弾く。

ノリに乗り始めたところで、音色がひとつ、またひとつと増えていく。

ちょっとした合奏のようになったその日の音がピクシーに届いたのかどうかはわからない。

だけどその日のピクシーの演奏はいつもより長く長く響いていた。