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人気のない食堂でのこと。
A「頼んだよ、アズ」
ついさっき師団の意味を知った世間知らずと単純な問題児の世話を任せて私は我が道をいく。
クララ「Aたん、どこ行くのー?」
A「んー、魔ーケストラ師団‼︎じゃ、イルマさまのことは頼んだよ‼︎」
クララ「ガッテンガッテン‼︎」
アズ「貴様‼︎この問題児も連れていかんか‼︎」
先輩たちの波に揉まれる3人を置いて私はその場を去った。
私は元々ヴァイオリンを嗜んでいた。
今思えば、サリバンさまは私にとっても良い教師をつけてくださっていた。
コンクールでの金賞を当たり前のように取っていたあの頃。
そこそこの努力で金賞を取れていたのは一重に教師の質が良かったからだろう。
ある程度の実力をつけてからは習うのを辞めてしまい、週に数回気が向いた時に弾くというスタンスでいた。
しかし、最近見にいったクロムちゃんのライブ。
その時、珍しく歌のベースにヴァイオリンが使われていた。
ドラムでもギターでもピアノでもない。
ヴァイオリンがだ。
そこから私の中にポッとついた火。
もっともっと美しい演奏を、という探究欲。
久しぶりに全力で弾いたヴァイオリン。
全く弾いていなかったと言うわけではなかった。
しかし、現役の時と比べ明らかに劣る実力。
私はまたあの時の実力を取り戻し追い越したい。
クロムちゃんの曲を思うままに弾いて、あわよくば私の演奏で踊ってもらいたい。
だから私は
A「入団を希望します‼︎」
思いっきり魔ーケストラ師団に向かって声をあげる。
「え、本当?」
「なになに?」
「はい、これ入団届」
渡される紙。
A「ありがとうございます」
「なんの楽器がいい?希望ある?」
先輩方は詰めるように聞いてくる。
A「はい、ヴァイオリンを希望したいです」
「やってたの?」
A「数年前までは。コンクールにも何度か」
「「「おお‼︎」」」
先輩たちは揃って瞳を輝かせる。
「ちょっと弾いてみてよ、楽器は俺の貸すからさ」
そして入団届の代わりに差し出されるヴァイオリン。
A「いや、そんなお見せできるものじゃ…」
「だいじょうぶだって、それに此処で弾いたらスッゲェ目立つと思うんだよな」
いい宣伝だ、と悲鳴の響き渡る廊下を眺める先輩。
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テト(プロフ) - ヴァイオリン弾いてる夢主ちゃん、、、私直視したら失明するかもな、、、 (1月2日 1時) (レス) @page35 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラーメン x他1人 | 作成日時:2023年12月6日 0時