雪の降る日に捨てられた悪魔 (ページ30)

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試験当日、私たちは心を浮き立たせながら分けられた各々の陣地についた。

イルマさまとクララとは離れてしまったがアズとは同じチームだった。

試験開始の合図がなり、ボールは我らBチームに渡ったが向こうには小賢しい“蛇”がいた。

気付かぬままにボールが盗られてサブロの手に渡る。

ジャズ「もーらい」

悪意も見せないその手腕に一蹴まわって感心する。

さて、あの厄介な蛇をどう対処してやろうかと勘案してた時、視界の端にボールの影がうつった。

しかし、私は首を傾げる。

何故ならば、一つではないのだ。

ボールの影は毎秒毎秒増え続ける。

A「こりゃまた厄介な…」

正しいボールは一つ。

しかし、視界に映るはサッカーボール、バスケットボール…数多のものが敷いていてついぞ私には見つけることができなかった。

ボールを見つけたのは他でもないイルマさま。

修行の成果を発揮して、しっかりと両手にボールを収めていた。

しかし、イルマさまは気づいたのだろう、焦った表情を浮かべる。

それもそうだろう、イルマさまはボールをとる練習はしても投げる練習はしていないのだから。

あたふたしている間にボールは再びサブロに渡る。

サブロのボールは重たく速い。

勢いつけて投げられたボールはアズの方へ向いた。

アズならば大丈夫だろう、根拠もなくそう思って身を引こうとした。

しかし引っかかる。

アズはイルマさまとチームが別れてから、一度も声を発していない。

それどころか、何か悩むように口元に手を当て突っ立っている。

＿＿＿あれ、こいつ集中してないんじゃ？

そう思いついた瞬間、私の体は動いていた。

投げられるボールを取ろうと、走り出す。

間に合う、手を伸ばせばまだ届く。

そうおもって、心の中で余裕を感じた瞬間。

私の足はもつれた(・・・・)。

いま、このタイミングで体制を崩す。

ボールは私の手の先に当たり、軌道を逸らしたものの拾われることなく

カルエゴ「A、アウト」

アウトとなった。

アズ「貴様、何をするのだ‼︎」

もつれて、転けそうになった私の腕を痛いくらいに掴んでアズは激昂する。

A「ありがとうくらい言ってほしいけどね」

アズ「あんなボールくらい自分で取れる、貴様がした節介に何故私が礼などせねばならん」

アズは蔑むような目で私を見る。

きっと、イルマさまと別れて機嫌が悪いのだろう。