雪の降る日に捨てられた悪魔 (ページ24)

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今日から本格的に授業が始まる。

占星術も興味深い分野であったが、何よりも面白かったのは魔生物の授業だった。

スージー「今日は魔術を使ってお花を咲かせてみましょう」

魔植物が咲き誇る植物塔で、ふいっ、と穏やかにスージー先生は授業を始めた。

スージー「特殊な苗に手をかざしてぇー、クワンクワン」

＿＿＿＿＿

スージー「コツは頭の中で完成形を思い浮かべることです、頑張ってね」

スージー先生は生徒を見て回りながらコツを教える。

抽象的なイメージを思い浮かべていると隣から大声が聞こえてくる。

サブロ「見せてやろう、己の力を、クワンクワンッ‼︎」

眩い光と共にサブロの鉢に命が宿る。

サブロ「見よ、これが己の花」

鉢に咲くのは硬い鉢をも砕こうとする凶暴な花。

A「めっちゃ、サブローっぽい」

サブロ「そうであろう‼︎」

イルマ「なにその花⁉︎」

サブロ「破壊神と名付けよう」

機嫌良さげにひけらかすサブロ。

ジャズ「いや、鉢壊しちゃダメだろ」

スージー「評価B +」

評価基準とは少し逸れていたようだ。

アズ「全く品のない…これが品格というものだ」

対抗するようにアズが持ち出したのは燃える花。

スージー「綺麗、A＋です」

これは先生のお眼鏡にかなったようで高評価を得ていた。

アズ「芸術の高みまで研ぎ澄ますのが魔術というもの」

アズのそのセリフが癪に触ったのだろうか、サブロはわざわざバケツに水を汲んでからアズの花にぶちまける。

サブロ「花には水をやらねばな」

アズ「あ゛ーー‼︎我血統の証しの火を…許せぬッ」

珍しく荒い声を上げたアズは普通に火の玉をサブロに向かって放つ。

こういうところが危険(アブノーマル)たる所以なのかねぇ、と思いながらも私は自分の苗に向き合う。

花…花…花…

A「クワンクワン」

呪文と共に咲いたのは真っ黒な花だった。

ただ真っ黒なのではなく、ものすごく“ふさふさ“で柔らかい動物の毛のようなものが花の形を模っているような、変な花だ。

茎も尻尾のようにゆらゆらと揺れている。

が、どこか既視感がある。

エリザ「Aちゃんのお花もとっても素敵ねぇ」

なんなんだこれは、と頭を捻っていると後ろからエリザベッタがのぞいてきた。

A「これが素敵？なんかいっぱい生えてるけど」

エリザ「素敵よ、ふさふさしてて可愛いわ」

クララ「おっ、Aたん終わった？」

クララが現れる。

クララ「なんか念子みたい」

A「それだ‼︎」

既視感の正体は屋敷の念子と兄さんの尻尾であった。