雪の降る日に捨てられた悪魔 (ページ2)

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私の朝は特段早い訳では無い。

だいたいいつも同じ時間に目が覚めるのでアラームもセットしていない。

使用人が使うには十分以上の部屋を歩き、顔を洗い、サリバンさまに与えられたメイド服に着替える。

メイド服と言ってもあまり規律は無いのか、自分の選んだデザインが採用されている。

コルセットをキツく閉め、黒の膝よりも少し長いスカートの上にエプロンを巻いて、黒いシャツを着て、黒と白のストライプ柄のリボンを首元に結ぶ。

髪を高く結い上げてこれもリボンで結ぶ。

最後にローファーを履けば支度は終わり。

時間に余裕を持って厨房に行く。

A「おはよう、お兄ちゃん」

オペラ「おはよう｣

一体いつ寝ているのやら、相当早起きをしているであろう兄のオペラはいつも通りに朝食の用意をほぼ終わらせていた。

そんな兄に頭を向けて撫でろ、と無言で命令するのが幼い頃からのやり取り。

撫でてもらいながら兄と確認するのは今日の流れ。

朝食後から就業時までの一連の動作。

A「今日は買い出しに行ってきます」

オペラ「では、私はその間に屋敷の掃除を。そのまま昼食も作るのでAは帰ってきたら洗濯もお願いします｣

A「？、兄さんやらなくていいの？いつも譲らないのに」

オペラ「今日はお客人が来るようなので」

兄さんは敬語を崩さない。

サリバンさまの屋敷に住み込みということもあって、私にも敬語で話しかけ続けたせいだ。

A「なるほど」

返しながら私は味見と称して朝食を食べる。

サリバンさまとは別に私の分の量も作られているのだ。

A「今日も美味しい」

グッと親指を向ければ満足そうに兄さんは頷いて、朝食を運ぶ用意を始める。

私も紅茶を入れる為のお湯を用意して準備は万端。

A「それでは今日も一日頑張りましょう」

オペラ「皿は割らないように｣

そんなヘマはもう随分と前に卒業した。

そう思いながら私たちは厨房のドアを開けた。