紅蓮の獅子の嫁 (ページ4)

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それから少したった頃だった。

そろそろお開きにしましょう。と帰りの支度をしていた時。

名残惜しそうにへそを曲げるシフィに、また今度来ましょうね、と宥め双子を魔法で浮かせた時。

そんな日常に有り触れたいつも通りをしていた時。

急に、ヴァーミリオン邸から使用人が走ってきた。

｢A様！大変です。お、王都が何者かによって襲われています！！！｣

最悪の知らせをと共に。

ピクっと片付けをしていたラシスの手が動く。

ラシュ「そ、それは誠か!?」

「ま、誠にございます。既に居住区は被害を受けております｣

A「………そう、けれど幸いにも今日は勲章授与式。有数の魔法士が王都には集まっているはず」

シフィ「かあさま、街は壊れちゃうの？｣

シフィが足にしがみついて聞く。

A「大丈夫、お父さまもいるのよ」

リオン「叔父上も」

A「そう、レオもいるわ。きっと、民や街を守ってくださるわ。だけど、念の為、邸に戻りましょうね｣

小さな小さな2人を撫でて私は歩みを進めた。

─────────

初めてだ。

王都を襲う賊など聞いたことがない。

敵はなにが目的なのだろうか。

王都を襲えば極刑は免れない。

かと言って王城に敵が攻め入り、王の命を狙ったという報告もまた、やっては来なかった。

A「王城や王様が狙いではないというのなら、敵は一体何が目的なのかしら」

すっかり、昼寝に入ったシフィの頭を撫でながら私はラシュアに聞いた。

ラシュ「さぁ、意外と狙いはそこじゃないのかもしれませんね。あの色狂いの王さまにそこまでの価値があるとは思いませんし」

A「だめよ、そんなこと言ったら不敬罪で掴まってしまうわ｣

ラシュ「否定はしないんですね」

A「私はこの子たちに、嘘はいけません、って教えてるのよ？」

私たちは目を合わせて、せきをきったように笑った。