時を超えて 49 ページ23
すっかり傷も治ってきた。
動いても痛みを感じないほどになった。
｢彩｣
｢ん？由依、どした？｣
｢うぅん、何も無い｣
｢なんだよ｣
｢なんか用がなきゃ来たらダメ？｣
｢そんなことないけど｣
｢じゃあ、ええやん｣
由依は彩の横に座った。
じーーーーー。
｢なんだ？｣
｢最近、しっかり顔見てなかったから｣
｢あー、そういえばそうやな｣
スッ
由依は彩の首に手を伸ばした。
｢なっ///｣
｢ここ、怪我してる｣
｢あー、この間のヤツだよ｣
｢そっか。
ごめんね、この間は怒鳴って｣
由依はが寂しい顔をするもんだから、彩は由依の頬をつねる。
｢いっ」
｢そんな顔するなって」
｢でも、ごめん」
相変わらずな由依に彩は小さなため息をついた。
｢なぁ、俺のこと怒って嫌われるたんじゃないか、とか思ってる？｣
｢…思ってる｣
｢やと思った。なんか最近、距離感じたし。
ホンマに心配症だなぁ｣
｢だって｣｢嫌いにならないよ｣
｢へ？｣
彩は由依の言葉を遮る。
｢由依は俺の事本気で心配してくれるから怒ったのも、わかってるから｣
｢彩…｣
｢俺だって、由依がいつも怪我して帰ってきてたら同じことすると思う。
やって俺ら家族やん｣
｢…そうやな、家族やもんな｣
由依が俺に好意を抱いていることはなんとなく感ずいていた。
だから、あえて『家族』という言葉を口にした。
｢由依姉ちゃんなにしてんの？！｣
｢あー！！！彩兄ちゃんいたん？｣
｢うわっ、もうお前ら学校終わったんか！？｣
｢終わったよー！｣
｢やったー！！彩兄ちゃんいる！
修行！｣
｢はぁ、仕方ねぇなぁ｣
｢みんな、あんまり無理させちゃダメよ｣
｢やったぁー！｣
｢俺の久々の休み…｣
今はきっと明るい温かい時間が流れている。
幸せな時間が。
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作者名：ハル | 作成日時：2017年1月2日 19時
