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時を超えて 47 ページ21
｢彩、大丈夫か？｣
｢あぁ｣
｢ごめんな、由依のやつ｣
｢うぅん｣
あんなに怒っていた由依を見たのは初めてのことだ。
｢まぁ、仕方ねぇよ。
由依は誰よりも彩のことが大切なんだから｣
｢ん？｣
｢気づいてるんやろ？由依の気持ち｣
そんな躊躇なく聞く里香に少し戸惑った。
｢それは…｣
｢まっ、由依はそういう気持ちがあるから、お前にはキツく言うんやろうけど」
里香は何か大事な事を言う前のように、ほうっと息をついた。
「お前、無理しすぎ。
ここにいるのは、みんな戦争孤児やで？
彩が死んだら、また大事な人を失ったら、みんなを苦しめることになるのは、お前が一番わかってるやろ？｣
｢うん、わかてるよ。
でも…｣
｢でも？｣
｢いや、何でもない。
今日はもう休むよ｣
｢そうだな、ちょっと言い過ぎてごめん｣
｢ええよ、ホンマのことやし。
おやすみ｣
｢あぁ、おやすみ｣
戦争孤児だからこそ、不自由はさせたくないのだ。
ただでさえ親のいないあの子達を、代わりに沢山愛してあげたいと思う。
そして、夢ある未来にしてほしいと思う。
でも、そんな考えがすぎ去ると、夜になると、考えてしまうことがある。
自分は何者でどこから来たのか。
けれどそれは、いくら考えても答えにはたどり着けない。
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作者名：ハル | 作成日時：2017年1月2日 19時
