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歪みと距離 12 ページ12
三年生が卒業した。
あと数週間したら三学期が終わる。
当たって砕けろ！
ここに来て、達兄の言葉が降りてくる。
放課後、教室を出ていく彩をどうしようもなく追いかけたくなった。
そして気づいた時には、駆け出していた。
「ちょ！？みるきー！？」
出た教室からは、茉由たちの声が漏れているけれど、美優紀の耳には入らない。
「彩！」
「ん？」
振り返った彼女の手を握って、屋上へと連れ去る。
向かう途中に、彼女は何も言わず諦めたようについてきた。
本当に何を考えているかわからないな。
「屋上、懐かしいな」
その言葉からは彩が最近、屋上に来ていない事がわかった。
「彩」
「はい？」
「先輩と付き合ってるの？」
「なんでそんなこと聞くの？」
「私の質問に答えて」
「それはできない」
「どうして！？」
少しイラッとして強く言う。
「関係ないやん、美優紀には」
胸が痛む。
昔は癒してくれるばっかりだったのに、今は傷つけるばっかりだね。
「関係あるよ！」
「ないよ」
「ある！
だって、だって私…彩のこと」
「付き合ってるよ」
私の言葉を遮るように、彩は言った。
「付き合ってる。
これでいい？」
「…」
何も言えなくて、彩はその場を去った。
私の恋は儚く終わりを告げた。
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作者名：ハル | 作成日時：2017年1月2日 19時
