ハルのさやみる小説 ⑦ (ページ45)

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時を超えて　71 ページ45

方位磁針で方向を確かめてから、夜の道を駈け出す。

あの時、女兵士はこう言った。

「みるきーが敵に捕まって」

耳を疑った。

「みるきー、任務中に…」

話によれば、美優紀さんは部隊の皆を逃がすために、自らを犠牲にし捕まってしまったらしい。

そして、現在救出作戦をたてているようだった。

その時、彩は居ても立ってもいられなくなった。

「そんなん遅すぎるやろ」

そうこぼした時にはもう、彩は三人の元を離れていた。

「彩！待てよ！」

「里香！？」

後ろから声がした。

「なにがあってん？」

「美優紀さんが捕まった」

「はっ！？」

「任務中に」

「マジかよ」

「あぁ」

「そういうことなら、俺も手伝う」

「でも…」

「一人より二人の方がええやん。

それに、なんかお前必死やし。あぶなっかしいから。

それに、美優紀さんも助けたいし」

なんでだろう。

美優紀さんのことだとわかった瞬間、こんなにも心配でこんなにも助けたいと思ったのは。

俺がそういうのをほっとけない人だからか。

俺が知っている人だからか。

理由はわからないけれど、俺が美優紀さんを助けなければならない。

そんな使命感に狩られたのは確かだった。