初めまして ページ5
次の日。
この日は自由練習で皆がそれぞれ自分達に必要な練習をしていた。
アタシはそんな中、探している人を見つけた。
「一星、ちょっと面貸しな」
「世崎さん…はい、分かりました」
ただならぬ雰囲気を察したのか、一星は覚悟を決めたような顔で返事をした。
円堂君は慌てて止めてきたが、アタシはそれを宥める。
「大丈夫だよ。これ、アタシなりのケジメだから」
皆が練習しているのとは別のグラウンド。
そこにボールをもってアタシと一星は対面していた。
何故かギャラリーのように周りに皆がいる。
練習しろ。
まあ、アタシはそれを無視して話し始める。
「…とりあえずさ、制裁とかそんな野蛮な事はしないからそこは安心してね」
一呼吸断りを入れると、一星の顔が少しだけ柔らかくなった。
それを確認してから口を再度開く。
「今更アンタに対してどうこう言う気はないよ
ここ、というか集団的秩序を保つ最適解は多数決だからね。アタシは決定に従う
だから、1つだけ聞く」
「アンタはここで、イナズマジャパンで何を成す？」
鋭く一星を睨む。
一星はごくりと喉を動かした。
あんな事までして、何の覚悟もなく進むなら、アタシは絶対に認めない。
「…俺、は」
一星は固い声で話し始めた。
「たくさんの思いを裏切ってここまで来ました。けど、皆はそんな俺を救ってくれた。仲間にしてくれた。
だから、そんな大切な皆の為に、俺は何かをしたいって思います」
一星の顔に迷いはない。あるのは強い意志だけ。
…やっぱり気に入らない。
「それ、答えになってないし」
そう言うと、一星は焦ったようにわたわたとする。
アタシはちょっと笑って言った。
「でも、悪くないじゃん」
「え…」
「始めまして、アタシは世崎A。よろしくね、"一星光君"」
「っ…はいっ！」
"光君"は泣きそうな顔で笑った。
「よし、光君、サッカーするよ！」
「え、今からですか!?」
「あったりまえじゃん、アタシ達サッカー選手だよ？」
「…一時はどうなるかと思ったが…大丈夫そうだな」
「あぁ！俺達もサッカーしようぜ！おーい！世崎ー！一星ー！」
「あっ、おい円堂！」
久しぶりに、何のしがらみもないサッカーが出来た、そんな気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 71人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むめい(プロフ) - シナモンさん» ありがとうございます！私も書いていて楽しい回でした！ (2月16日 20時) (
レス) id: 080d3d10ab (このIDを非表示/違反報告)
シナモン(プロフ) - 壮行会のところめっちゃおもしろかったです!続きを楽しみに待っています!がんばってください。 (1月16日 19時) (レス) @page27 id: 52a06b9707 (このIDを非表示/違反報告)
むめい(プロフ) - 歌姫さん» ありがとうございます！ちょっと行き詰まってたので励みになります！ (11月21日 22時) (レス) id: 080d3d10ab (このIDを非表示/違反報告)
歌姫 - いつも楽しみに読んでます。これからも頑張ってください (11月13日 23時) (レス) id: 0734f30b1c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むめい | 作成日時：2023年10月26日 23時
