よく分かんないけど ページ37
「何となく…、だよ」
「何となく？なおさら良く分かんないんだけど」
「あー、つまりだな」
そこまで言うとヒロト君は一旦言葉を切ってアタシの方を向いた。
「何となく、放っておけないような雰囲気だったからだよ」
「雰囲気…」
「危ないっつーか、誰にも気づかれないで消えそうな感じっつーか…」
うん全然よくわかんない。
そんな感情はヒロト君に伝わったようでヒロト君はむすっとするとアタシの髪の毛をぐちゃぐちゃとかき回した。
「あっ、ちょっと何すんの」
「うるせー」
ヒロト君的にはもう全部話し終わったのだろうか、ぷいと柵の外の景色へと視界は移動している。
「まあ何でもいいや」
「いいのかよ」
「だって、アタシがビビってた時も、アタシが周りを見なくなってた時も、助けてくれたのはヒロト君だもん！」
ヒロト君はその言葉に驚いたように顔を向けたが、珍しく邪気の無い笑みを浮かべてアタシの頭を撫でた。
「ちょっと、子ども扱いしないでくれる!?」
「ちっげぇよ！！」
そして翌朝。
またもや戦力外のアタシはチビ達を起こしたり、食器の用意など中々にハードな朝を送っていた。
「明日にはもうフライトかぁ」
緑川君の言葉に基山君が頷く。
「朝一の便だったはずだから…、そうだね。もう日本にはいないな」
「日本は時間に厳しいよね。急がなきゃ」
「他の国が異常に緩いだけなのでは？」
砂木沼君の鋭いツッコミを受けながらも食事を進めていると、ヒロト君が意地悪そうに笑う。
「世崎、お前荷造りちゃんと出来んのか？」
「失礼ねー。普段からあっちこっち行ってんだから荷造りとかは余裕だよ。むしろヒロト君こそ、荷造り終わってんの？」
「まあゴッドストライカーである俺様はとっくにだな」
「自分でキャッチコピー言うの止めな？痛いよ？」
「うるせー」
ぎゃいぎゃいと言い合っていると玲奈ちゃんがぽつりと呟く。
「何だか晴也と風介に似てる…」
「やめてよ！！！」
いやいやいや似てない似ていないから。
あの二人はほら、ライバル的なあれじゃん。
アタシとヒロト君はポジション違うしお互いが張り合っているわけじゃないから！！
抗議の意味を込めてお米を口に詰め込んだ。
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むめい(プロフ) - シナモンさん» ありがとうございます！私も書いていて楽しい回でした！ (2月16日 20時) (
レス) id: 080d3d10ab (このIDを非表示/違反報告)
シナモン(プロフ) - 壮行会のところめっちゃおもしろかったです!続きを楽しみに待っています!がんばってください。 (1月16日 19時) (レス) @page27 id: 52a06b9707 (このIDを非表示/違反報告)
むめい(プロフ) - 歌姫さん» ありがとうございます！ちょっと行き詰まってたので励みになります！ (11月21日 22時) (レス) id: 080d3d10ab (このIDを非表示/違反報告)
歌姫 - いつも楽しみに読んでます。これからも頑張ってください (11月13日 23時) (レス) id: 0734f30b1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むめい | 作成日時：2023年10月26日 23時
