【イナアレ】女帝、サッカーを知る。 (ページ40)

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アウターコード『K家の食卓』ページ40

注意！

本話は、アレスの前に起こった出来事をアレスの後に起こったような描写にしておりますが、ただ題名とシチュエーションをパクっているだけで本来のアウターコードの内容とは合致しておりませんし、時間軸はアレス後、オリオン前となっております。

違和感、その他もろもろあるかもしれませんが、ご了承ください。

有人が父親(＋袴田)とバトルを繰り広げている時、父親は敢えて聞いていなかった問題を袴田に聞き出した。

「袴田、何故食事を三人分用意している」

袴田は答えない。

これから何が起こるか分かっている様子だった。

父親は有人を見るが、有人もよく分かっていない様子だった。

二人できょとんと首を傾げる様子はそっくり、まさに親子である。

袴田がミスをするとは思えない。
そして当の本人、袴田は答えない。

途方に暮れかけたその瞬間、扉がノックされた。

父親が反応する前に袴田が扉を開く。

そこから姿を表したのは、数年間会っていない娘だった。

思わず目を見開いて固まる。

大人っぽくなってはいるが、母親譲りの美しい青い目や髪は変わらずだった。

変わったところといえば、腰まであった茶色の髪は、ばっさりと短くなっていて、時の流れを更に顕著にさせていた。

誰も言葉を発しない。

Aは美しい所作で椅子に座る。

その所作すらも最後に会ったままで、自分が未来にタイムスリップしたような、不思議な感覚になった。

当のAは妙な感慨深さに包まれていた。

数年振りの家、使用人、弟、父親。

何年も逃げ続けていたのに、いざそこにいても特に負の感情は浮かばない。

父親は酷く気まずそうで、少し笑いが洩れる。

思えば、ずっと父親から逃げることに必死だった。

見てもらえない恐怖に怯え、逃げ出して、向き合うことをしなかった。

あそこまでヒロトに怒鳴ったんだから、自分もしっかり向き合わなければ。

出てくる直前、佐久間達に激励されてきたんだ。失敗は許されない。

源田がくれたお守りをそっと握りしめる。

何と、来たるべき今日のために作ってくれたそうだ。
もはや母性の域を超えている。

話したいことがいっぱいある。

聞きたいこともいっぱいある。

それでも、それより前に言いたい事があった。

Aは顔を上げて、柔らかく笑った。

「お父様。私、サッカー部に入ったんです。」

女帝、サッカーを知る。