【イナアレ】女帝、サッカーを知る。 (ページ3)

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疑問ページ3

やってしまった。

Aはそれしか頭になかった。ここの所、佐久間達がサッカーのことをアピールしてくる。流石にうざったくなってきてからようやく佐久間に嵌められたのだと気付いた。
後悔するが完全に後の祭りだった。

「おはよう、A。今日は天気がいいな。

　・・・こんな日はサッカーがやりたくなるな！」

「下手過ぎるだろ」

必死な事は分かるが流石に露骨過ぎる。
Aが心の中でゲンナリしていると佐久間達が源田を影に引きずる。少しの間を空けると、話し合いが終わったのか、ひょこっと顔を出す。

「Take2！Take2いいか！？」

「好きにしろ」

よし、行け！と佐久間達に押されてもう一度源田が姿を表した。何にも分かってなさそうな顔をしている。

「・・・サッカーやろうぜ？」

「源田ぁぁぁああ！！」

こてん、と首を隠して何故か疑問形の源田を佐久間が叫びながら引きずっていった。
やれやれという顔でそんな二人を追いかける辺見と咲山。
このような事がここのところ毎日続いている。

「頭痛がしてきた・・・」

「後で、リラックス効果のある紅茶入れますね・・・」

「頼む・・・」

そうしてやってきた放課後。普通の生徒ならば天国のような時間だが、今の彼女達にはただの地獄である。

「こんにちは佐久間です帝国サッカー部をよろしくお願いします！！！！」

「帰れ馬鹿野郎」

もう帰ってほしい。しつこすぎる。今日だけで５回言われた。しかも段々強引になってきている。他の役員達が可哀想だ。一年の書記なんて涙目だ。
最初はキチンと追い返していたが、もはやその気力もない。されるがままである。

佐久間はAに練習を見て欲しい、とグラウンドに誘導する。もう抵抗するのも面倒臭くなり、初めてグラウンドに足を(強制的に)運ぶことになった。
少し嬉しそうな表情で練習の内容を話す佐久間を見て、ぽつりと呟く。

「何でそんなに必死なんだ」

「え？」

「サッカーの何がお前をそうさせる？サッカーじゃなきゃ駄目なのか？お前の大好きな鬼道有人はもういないんだ。やった所で誰も認めてくれないだろう」

あらゆる物事を自分の価値を示す手段として使ってきたAにとって、サッカーに対してここまで必死になる佐久間の気持ちは、よくわからないものだった。

「・・・好きだから」

「好き？」

「そうだ。誰がどうとか関係ない。好きだからサッカーをするんだ」

その考えもまた異質で、Aは到底理解出来ないと思った。