そんなふうに、見ないでほしい 6【HS】【TH】

258:標本とは ページ10

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TH「俺も会いたいけどさ…」




ユンギ先輩が、抱えていたオオサンショウウオをグイっとテテ先輩に押し付ける。




YG「まあなんだ。俺も旧正月は実家帰らんし、一緒にトックでも食うか」




TH「ゆんぎぃ…」




YG「うわっ俺に抱き着くな。こっちだって」




TH「俺の事テヒョンアって呼んでよ！未だにおいっとかテヒョンさんって呼んでるの気づいてるからね！」




オオサンショウウオのぬいぐるみを壁のようにして攻防戦を繰り広げる二人。
私のオオサンショウウオで戦わないでください。




TH「俺毎年、旧正月は亀二郎の標本と一緒だったから、今年はユンギも一緒なんて嬉しいよ」




YG「こわっさみし！ひとりっつったって、もっと過ごし方あるだろ」




TH「ユンギは何するのさ」




YG「音楽の神様と交信を図れないか、限界まで試してみる」




TH「何をっ？こわっさみし！！人の事言えませんけどぉ？」




YG「死体と過ごすよりはよっぽど有意義だよ」




TH「亀二郎のこと死体ってゆーな！」




YG「標本って要は死体だろ」




HS「ユンギヤ、全然分かってない。まず粘菌の基礎からしっかり教えてあげないといけないみたいだね」




YG「ホソガまで」




インターホンが鳴って、買い出し組が帰ってくる。
ドタバタと迎え入れて、粘菌の標本の素晴らしさを語る派閥と、標本って死体じゃないのという派閥で戦火を交えた。


もちろん構造は粘菌研究会(OBも含む)VS音楽学部と法学部だ。

お酒も深くなり、熱いディベートのようで、その実何の話をしているか分からない。


過半数が粘菌研究会のメンバーなのに、多数決を取ることになった。そして勝った。

ユンギ先輩がしきりに首をかしげるのを無視して、テテ先輩もホソク先輩も肩を組んで陽気に喜んでいる。



いつの間にかボムギュはウツボを抱いて、一人静かにベッドで眠っていた。
そしてテヒョンは中立のような立場で、的を得ない酔っ払いの言葉の要約をしていた。

つまり実質1対5。圧倒的数的不利。




th「あ、外」




その言葉にみんな窓の方を見ると、夜を押し上げるように空が白み始めていた。
ベランダを開けると、冷たい空気が頬に刺さる。




JM「うわ〜さむっ眠気も酔いもイッキに醒めたわ」




TH「ベランダ東向きなんだ。朝日が真正面だね」




HS「どんどん紫？オレンジに染まってくね。綺麗」


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