296:暗くてしっとりした ページ48
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オッパの近づく唇に、私も目を閉じて流れに身を委ねた。
TH「ストップ。A態度違いすぎ。そこは『ホビオッパ、ダメです』って人差し指で止める所でしょ」
パッと目を開ける。
完全にバーなのを忘れていた。
HS「あと少しだったのに」
TH「ホソガは!俺とAが共にした年月、トリプルスコアで負けてるんだからね」
HS「おかげで確かな友情をしっかり築けたんだね」
TH「マージで腹立つ。Aやっぱり俺にしなよ、俺の方が良い男だよ?」
HS「それはAが決めることだから」
二人が同時に私を見る。
『お二人とも、素敵です』
TH「はぁ、そうだよ。小悪魔ちゃんなんだよ」
HS「A、浮気はダメだよ?」
TH「ふん!俺とAはもしかしたら同棲するかもしれないんだから」
HS「そうなの?俺はAをお嫁さんに貰うから、お前も一緒に住む?召使いとして」
お嫁さんという言葉にオッパを見ると、「嫌?」と首をかしげる。
頭を横に振る。
『嫌なわけ、ありません』
TH「A専属召使いなら良いよ」
HS「ダメに決まってんだろ。あわよくばが透けて見えてんだよ」
カウンターの下でオッパと結ばれた手を握って、ゆっくり絡める。
ストンと肩に頭を乗せると、テテ先輩は呆れた顔をした。
TH「はいはい、全部冗談ですよ。邪魔者は帰ります」
HS「もう帰るの?」
TH「白々しい、心にもないことを」
荷物を持って「またね」とあっという間に帰ってしまったテテ先輩がいなくなると、少し静かになる。
溢れる想いは、詰まって結局言葉にならない。
私たちまた、恋人なんだ。
それはきっとオッパも同じで、お互いが側にいることを何度も確認するように、手を握り合う。
HS「A…やっぱり俺らも、二人になれる所に行こうか」
羞恥なのか期待なのか、顔が熱くなるのを感じる。
『私の部屋に、来ますか?』
HS「…いいの?」
あからさまに思えて、話を逸らす。
『後輩ちゃんでぬいぐるみが好きな子がいて、部屋のぬいぐるみ増えたんですよ』
HS「女の子?」
『男の子です。カイくん、可愛いものが好きで』
HS「ごめん、ちょっと黙って」
『っん…』
暗いバーの奥で交わした口づけはしっとりしていて、そのまま一つになりそうだと思った。
end
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あさなさな(プロフ) - pumpkinさん» たくさん読んでいただきありがとうございます!色んなホソクさんを楽しんでいただけたらと思います。なんとなく似てしまうのはご愛嬌笑 (9月11日 18時) (レス) id: 182cc2cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
pumpkin(プロフ) - 本当にあさなさなさんの世界のホビ素敵すぎます。全作品読ませてもらってます。癒しの時間をいただいてます。素敵な作品をたくさんありがとうございます!! (9月8日 11時) (レス) @page50 id: 3dc2269bbe (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - 鹿さん» 長いのにありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!こちらはもっと山あり谷ありですね笑 (8月10日 17時) (レス) id: 182cc2cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - うわあ三日で頑張って全部読みました!最高ですね!こんなにリアルで切なさを描いた小説初めて読んだ気がします。 (8月10日 3時) (レス) @page50 id: 6f7661d487 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - フネ55さん» 楽しくて悩ましい大学生活を描きたかったので、嬉しいです!微々たる供給ですが、楽しみにしてくださってありがとうございます! (7月23日 19時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさなさな | 作成日時:2023年5月31日 17時