293:ハッピーエンドは ページ45
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TH「年二回、日本の大学が長期休みの度に帰って来てたよ。お父さんの実家と俺の部屋のはしご」
それが答えですよ、テテ先輩。
だからわざわざ教えないでください。
勉強や研究が忙しくなって、近くにいる大切な人たちと楽しく過ごして、虚しさを覚えないようにしてたのに。
TH「知ってた?向こうは冬休みと春休みって、分けてあるんだって」
部屋で一人の時、勝手に涙が出てきたりした。ウツボちゃんを見ると太陽みたいな笑顔が思い浮かんで目を逸らした。
ネックレスもボールペンもあまり使わないけれど、大切に引き出しの中にある。
『お二人で、楽しんできてください』
TH「ねぇ、Aとホソギはどうしたいの」
『どうにも…』
まだ、何もできない。
TH「それなら俺との事も、もう一回考えて欲しい」
テテ先輩が近づいてきて、右腕をそっと掴まれる。見下ろす視線は強かった。
やんわり払うようにして、一歩下がって距離を取る。
『テテ先輩とはずっと友達でいたいです。そしたらずっと、一緒にいれます』
TH「ははっ何それ。新手のプロポーズ?」
『そういうつもりじゃ…』
TH「人生もっと楽に考えて良いと思うよ。
罪悪感とか、使命感とか、こう在らなきゃって思いは全部、自分で作ってるんだから。悲劇的な二人も絵になるけどさ、
俺はハッピーエンドが見たい」
それでも会えない。
今会うと私、引き留めてしまいたくなる。
TH「じゃあもう帰るね、お客さまを待たせてるし。Aもほどほどに」
お世話の記録をカトクのグループに送る。
既読がいくつかついて、「ありがとうございます」と可愛いスタンプが返ってくる。
三年間、オッパが居なくても楽しかった。
きっとオッパも日本で、私が居なくても楽しく充実しているはずだ。
たまに弱っちゃう時もあるけど、ずっと悲しんでいられるほど強くはなかった。弱いから、自分の心を無視して笑っちゃう。
テテ先輩が言った強さは、私にとっては弱さだった。
ずっと大切に想っているのは変わらない。
けれど新しく大切な人ができているかもしれないという妄想も、途切れない。
悲観屋なのは分かってる。
悲劇は自分一人で籠ってても成立するから、簡単なんだ。
チョン・ジョングクヌナ!今夜空いてますか?カイん家でホラー映画見ましょう!
さっき二人で借りて来ました!
だけど、今も十分幸せだよ。
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あさなさな(プロフ) - pumpkinさん» たくさん読んでいただきありがとうございます!色んなホソクさんを楽しんでいただけたらと思います。なんとなく似てしまうのはご愛嬌笑 (9月11日 18時) (レス) id: 182cc2cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
pumpkin(プロフ) - 本当にあさなさなさんの世界のホビ素敵すぎます。全作品読ませてもらってます。癒しの時間をいただいてます。素敵な作品をたくさんありがとうございます!! (9月8日 11時) (レス) @page50 id: 3dc2269bbe (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - 鹿さん» 長いのにありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!こちらはもっと山あり谷ありですね笑 (8月10日 17時) (レス) id: 182cc2cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - うわあ三日で頑張って全部読みました!最高ですね!こんなにリアルで切なさを描いた小説初めて読んだ気がします。 (8月10日 3時) (レス) @page50 id: 6f7661d487 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - フネ55さん» 楽しくて悩ましい大学生活を描きたかったので、嬉しいです!微々たる供給ですが、楽しみにしてくださってありがとうございます! (7月23日 19時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさなさな | 作成日時:2023年5月31日 17時