285:会いたい ページ37
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『そんなの嫌です。だから距離を置いたんです。落ちて欲しいなんて思いません』
YG「ま、それでも十分効いてるだろ」
ご飯はユンギ先輩とソクジン先輩が奢ってくれた。
ソクジン先輩も奢られる気満々だったけど、結局折半させられていた。
一人の部屋に帰って、床に座って目を瞑る。
ホビオッパは完璧主義で、できる事は全部自分でしてしまう。悩みも一人で完結して、私をひたすら甘やかしてくれる。いつもそう。
…いつまで、そうなの?
そんなに言えなかったのかな。
粘菌研究会に入って、成長できたと思っていたのは私だけ?
言ってくれないんじゃ、どうにもできないのに。
教えて欲しかったって、責めることしかできない。
ホビオッパはお昼休みにB221に来る事は無くなった。
研究室棟Bで偶にすれ違うだけの、あまりに希薄な関係になってしまった。
どこで事情を察したのか、それとも誰かから聞いたのか、ボムギュとテヒョンもそういった話題には触れて来なかった。
律儀に距離を置かれて、凄く凄く寂しかった。でもそうしたのは自分だ。
TH「あ、A…そういえばさ」
ある月曜日。
ホビオッパがいない、それ以外はいつも通りのお昼休み。テテ先輩が伺うように切り出した。
TH「ホソギ、日本の大学院受かったよ。一個は落ちたけど、一個は受かったって」
ボムギュを筆頭に、みんなですごいと盛り上がる。
嬉しいけれど切なかった。
そしてそれ以上にホッとした。
JN「Aさん、良かったね?」
『良かったです。これで安心して…』
安心して話し合いができる?責められる?
いつになったら、近づいて良い?
th「Aはどうするの」
テヒョンの言葉が、真っ直ぐ耳に届いた。
『おめでとうございますって言いたい』
だってずっと応援してた。
心の中で、遠くに行かないでって思いながら、それでも応援してたよ。
th「そう。じゃあ頑張ってね」
『うん』
今日は、オッパに会いに行こう。
もう十分すぎる時間、離れていたよ。会いたい。
ーーーーーーーーーーー
五限の授業終わりに、ホビオッパのアパートに着く。
まだ合鍵は返していないけれど、使うことはできない。
インターホンを鳴らしても返事はない。まだ帰ってきていないんだ。
電気のメーターボックスの下で、立ったまま壁に寄りかかる。
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あさなさな(プロフ) - pumpkinさん» たくさん読んでいただきありがとうございます!色んなホソクさんを楽しんでいただけたらと思います。なんとなく似てしまうのはご愛嬌笑 (9月11日 18時) (レス) id: 182cc2cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
pumpkin(プロフ) - 本当にあさなさなさんの世界のホビ素敵すぎます。全作品読ませてもらってます。癒しの時間をいただいてます。素敵な作品をたくさんありがとうございます!! (9月8日 11時) (レス) @page50 id: 3dc2269bbe (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - 鹿さん» 長いのにありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!こちらはもっと山あり谷ありですね笑 (8月10日 17時) (レス) id: 182cc2cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - うわあ三日で頑張って全部読みました!最高ですね!こんなにリアルで切なさを描いた小説初めて読んだ気がします。 (8月10日 3時) (レス) @page50 id: 6f7661d487 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - フネ55さん» 楽しくて悩ましい大学生活を描きたかったので、嬉しいです!微々たる供給ですが、楽しみにしてくださってありがとうございます! (7月23日 19時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさなさな | 作成日時:2023年5月31日 17時