283:グラタン ページ35
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ユンギ先輩からスプーンを受け取って、とろりとホワイトソースとチーズが絡んだお皿を見る。
ふんっと鼻を鳴らして自分の料理を食べ始めたユンギ先輩と、既にモグモグしながらこちらの様子を伺うソクジン先輩。
ゆっくりグラタンを掬って、ふーふー冷ます。
その動作で、自分の心が少し落ち着いていく気がした。
「で、何があった」と、私が食べ終わるや否や聞いてきて、ホビオッパがどこの院を受けるか知っていたか、二人に聞いてみた。
二人とも表情がスッと変わる。
YG「何あいつ。最近Aに言ったの?」
『お二人とも、知ってたんですか?』
JN「いや、俺は何も知らないよ。ただドンイ先生が日本の資料の取り寄せしてて、何だろうとは思ってたんだけど…その感じはもしかして」
『来月、日本の大学院を二つ受けるみたいです。最初テテ先輩に聞きいて…』
もうどうしようもないくらいに絡まった矛盾まみれの感情を、空っぽのお皿に向かって吐き出した。
応援したい。支えたい。ずっと頑張ってるのを知ってる。遠距離でも付き合っていたい。
隠されてた。同じ立場にずっと立てない。一緒に悩むこともできない。離れていかないで。
結局私は信用されてないんだ。都合の良い恋人。
全部いっしょくたに丸まって、支離滅裂じゃきかないくらい、意味不明だったと思う。
YG「ホソギ、結局言い出せなかったんだな」
『ユンギ先輩は…いつから』
YG「それこそAのレコーディングの後くらいに、ちらっと相談受けた」
『もう日本の大学院を受けるのは、決まってたんですか?』
YG「悩んでたよ。
大切だから、離れたくない。けれど自分のやりたい事に不誠実なのも嫌だって。
Aに誇れる自分でいたいって」
パタパタと涙がスプーンに落ちる。
『それを、相談してくれたら、良かったのに…』
ゴシゴシ目を擦る。
「失礼します、お皿お下げしますねぇ〜」
気の抜けた声の店員さんが、私の前のお皿を持っていく。こちらを見て一瞬ギョッとした顔をしたが、関わらないでおこうといった感じで、そそくさと去って行った。
重たかった感情が、少しだけお皿に乗って行っちゃった気がした。
YG「ホソギは完璧主義だからな。人に相談とか、あんまりできないんだよ」
『ユンギ先輩は…』
YG「俺もちらっとしか聞いてねーって」
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あさなさな(プロフ) - pumpkinさん» たくさん読んでいただきありがとうございます!色んなホソクさんを楽しんでいただけたらと思います。なんとなく似てしまうのはご愛嬌笑 (9月11日 18時) (レス) id: 182cc2cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
pumpkin(プロフ) - 本当にあさなさなさんの世界のホビ素敵すぎます。全作品読ませてもらってます。癒しの時間をいただいてます。素敵な作品をたくさんありがとうございます!! (9月8日 11時) (レス) @page50 id: 3dc2269bbe (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - 鹿さん» 長いのにありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!こちらはもっと山あり谷ありですね笑 (8月10日 17時) (レス) id: 182cc2cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - うわあ三日で頑張って全部読みました!最高ですね!こんなにリアルで切なさを描いた小説初めて読んだ気がします。 (8月10日 3時) (レス) @page50 id: 6f7661d487 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - フネ55さん» 楽しくて悩ましい大学生活を描きたかったので、嬉しいです!微々たる供給ですが、楽しみにしてくださってありがとうございます! (7月23日 19時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさなさな | 作成日時:2023年5月31日 17時