278:置いていかれないように ページ30
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HS「ん?どうした?」
『歩き疲れて座ってるだけです』
HS「俺の事は気にしないで、もっと出かけても良いんだからね」
『……ホビオッパは、』
HS「ん?」
『ホビオッパは、どうですか?』
小さな声で、婉曲的にしか聞けない。
だってこんなに努力している人に、少しで良いから出かけようなんて、誘っていいのか分からない。
ホビオッパが椅子から降りて、私の手を包む。
何度か口を開いては閉じる。
やっぱり聞いちゃいけなかった。複雑な表情のオッパをじっと見つめる。
HS「あのね、聞いてほしい事があるんだけど…」
『何ですか』
HS「あ…その、今頑張れてるのはAが側にいてくれるからだよ。
勉強ばかりしてごめん、けど、今は頑張りたくて」
『私も一緒に頑張ります。また…どこか行きましょうね』
優しく細められた瞳は返事をしてくれなかったけれど、マシュマロみたいなキスをくれた。
うん。きっと大丈夫。
もっとしっかり勉強して、研究にも取り組んで、ホビオッパの隣で胸を張っていられるように頑張るんだ。
置いていかれちゃうのは、寂しいから。
ーーーーーーーーーー
院試は終わり、秋学期が始まった。
合格発表はまだだが、テテ先輩はその解放感からか、B221によく顔を出していた。
TH「今日も精が出るね〜」
『面倒な課題の授業があって』
TH「あーあった!一時間の動画見ないといけないやつだ」
『そうなんですよ。それだけで時間が…』
TH「二倍速で見れば良いのに」
『そうしてみたんですけど、結局理解が追い付かないので、何回も巻き戻すよりは…って標準に戻しました』
TH「案外テロップが出てるとこだけ追えれば良いから、それで1.5倍とかにしてみれば?」
『そうなんですか?ありがとうございます』
TH「いえいえ〜」
テテ先輩のアドバイスのおかげで、課題の時間を短縮できた。
『ホソク先輩って、空きコマでしたよね』
TH「ん、けど今日もドンイ先生と面談だよ」
またドンイ先生との面談。
お昼とか家でのことは共有しているけれど、研究室の事は全然分からない。
『最近多いですね』
TH「そりゃ推薦状のこともあるし、あーでも今日は日本語の先生の所だったかな」
『推薦状?』
TH「確か二人の教授にもらうって…え、A?もしかして知らないとか言わないよね?」
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あさなさな(プロフ) - pumpkinさん» たくさん読んでいただきありがとうございます!色んなホソクさんを楽しんでいただけたらと思います。なんとなく似てしまうのはご愛嬌笑 (9月11日 18時) (レス) id: 182cc2cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
pumpkin(プロフ) - 本当にあさなさなさんの世界のホビ素敵すぎます。全作品読ませてもらってます。癒しの時間をいただいてます。素敵な作品をたくさんありがとうございます!! (9月8日 11時) (レス) @page50 id: 3dc2269bbe (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - 鹿さん» 長いのにありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!こちらはもっと山あり谷ありですね笑 (8月10日 17時) (レス) id: 182cc2cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - うわあ三日で頑張って全部読みました!最高ですね!こんなにリアルで切なさを描いた小説初めて読んだ気がします。 (8月10日 3時) (レス) @page50 id: 6f7661d487 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - フネ55さん» 楽しくて悩ましい大学生活を描きたかったので、嬉しいです!微々たる供給ですが、楽しみにしてくださってありがとうございます! (7月23日 19時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさなさな | 作成日時:2023年5月31日 17時