155:今日のワンピース ページ6
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『すごい…』
初めて入ったそのホテルの内装は、どこかのヨーロッパの宮殿みたいで、隅々まで意匠が凝っている。
キョロキョロするのは恥ずかしいのかなと思いつつも、思わず目だけはあちこちに走ってしまう。
女性スタッフの方に声を掛けられて、ビュッフェの事を伝えたらエレベーターの前まで誘導してもらえた。
歩きながらソクジンくんが小声で話しかけてくる。
「俺らのちょっとしたお洒落なんておままごとみたいだね」
『うん。クリノリンとかが似合いそう』
「くりの…何て?」
『ドレスのスカートを広げる為の、骨組み付き下着のことだよ。こう、ゴージャスにふわんて広がるの』
「ああ、マリーアントワネットみたいな?」
『そうそう。多分そっちはパニエだと思うけど』
「へぇ…なんかAから女の子を感じた」
『そんな失礼な』
まじまじと感心したふうに見られるから、普段は何だと思ってるの?って意味を込めて半目にする。
世界史苦手だけど、こういうのは結構好きだもん。
「嘘うそ。今日のワンピースも凄く似合ってるし、可愛いよ」
ご機嫌を取るためのおまけみたいな発言。やっぱり少し失礼だよね。
今日は素敵な所に見合った格好でいようと思って結構頑張ったのに。上手くいってないかもだけど。
『いい、別にソクジンくんにどう思われてても気にならない』
「何でそんな事言うのさ」
言った後に反省する。流石にこんな所でいつもの言い合いは子供っぽすぎる。
私だって台無しにしたい訳じゃ無い。
『ごめん』
「最初からストレートに言ったら逃げるくせに」
それは…確かに。
というか私、ソクジンくんに今日の装いを褒めて欲しいって思っていたんだ。
それを自覚した瞬間、ドッと恥ずかしさが押し寄せてきた。
『え、エレベーター来たよ』
「ほら逃げる」
エレベーターから降りると、正面に開けた会場があった。
デザートが沢山並べられていて、空間全体がキラキラして見える。
『うわぁ、凄いね。全部食べたいな…』
「よし、制覇しよう」
何故か少し腕まくりをして最初からお皿を二つも持つから、どうやって取るのって吹き出してしまった。
一枚受け取って、ワクワクするものから取る。
ぎっしり充填するように乗せて、第一弾をいただく。
『ん!これ。このミルクレープ幸せになるよ。食べて』
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あさなさな(プロフ) - りつうさん» どっちも最高学年で生徒会の上の立場なので、嫉妬のような感情や一面は理性で隠してたんだと思います。ナムジュンさんの想いも、明かしていけたら…! (4月8日 13時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
りつう(プロフ) - 嫉妬によりMくんとナムさんの見えてなかった一面が顔を出しましたね〜!ナムさんもホソク先輩のことで葛藤したり懊悩してたのかな〜と想像してしまいました😢 (4月7日 16時) (レス) @page13 id: 2c4192e77a (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - Suzyさん» ありがとうございます…♡ (4月7日 10時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - あさなさなさんの···繊細な表現がすきです💙❤💙 (4月5日 23時) (レス) id: 8ccc3081cc (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - りつうさん» 主人公の相談に乗ってくれる人がなかなか居なかったので、ようやくのヨンジュン先輩でした!それぞれのキャラクターの心情まで深く読んでいただけて嬉しいです!素敵なお言葉もありがとうございます! (3月18日 12時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさなさな | 作成日時:2024年3月15日 18時