152:街灯の下 ページ3
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「今週の土曜日、どこか遊びに行かない?」
『今週?…えと、行けなくは、ないけど…』
「ないけど…何?」
塾からの帰り道、バスを降りて私の家まで送ってもらう。
繋いだ手を引かれて、少し強引にのぞき込まれる。
『ぃや、うん。…いいよ、遊びに行こう』
ズルくなるってどうしたら良いか分からない。
ホソク先輩の事であれだけ泣いたのに、それでもソクジンくんの傷つく顔だって見たくない。
だって触れられる距離にいる人に、分かってて冷たい言葉なんて言えないから…
「何か用事があるなら日曜日でも」
『や、土曜日で大丈夫……』
「……」
どうしたら良いか分からない。
空気もシンと重くて、対照的に車の音がよく聞こえてくる。
「何かあるなら言って欲しいんだけど」
『何かあるとかじゃ…』
「何も無い?」
『……』
「当ててあげようか」
いつもと雰囲気が違った。
「ずっと話しかけてくるのを無視するのも面倒だから友達になった。高校でも友達のつもりだったのにいきなり好きとか言われて迷惑だった」
『え…?』
「好きな人がいるのに、それを知ってて邪魔してきた。秘密なら一か月くらいは付き合ってやろうかと思ったけどバレてしまった。大好きな人にも、他のたくさんの人にも」
『そんなこと思ってな』
「思うだろ!俺だったら思うよ!」
『……
…そう思えたらどれ程楽だろうって、』
そんなふうになら、思ったこと、ある。
どうして分からないの。
想ってても伝わらないの、苦しい。
『私の気持ちを、決めつけないで。
思ってない。そんなおざなりな気持ちでソクジンくんと一緒にいる訳じゃ無い!』
語気が強くなる。
何度か荒い呼吸を繰り返して、自分を落ち着かせる為に長い瞬きをした。
『近くに公園があるからさ、少しだけ寄り道しよう』
返事は無かったけれど、私が歩いたら静かに付いて来る。
小さな滑り台と、ベンチしかない三角の公園。
そこのベンチに2人で腰掛けると、ポツンとソクジンくんが呟いた。
「ごめん、焦ってる」
カツンと小さな音がする。
近くの街灯で、蛾が何度もそのガラスにぶつかっていた。
視線を戻すと、ソクジンくんもそちらをじっと見ている。徐に口を開いた。
「あと1週間で約束の1か月って思ったら…焦るよ、正直。
…脈ナシなんて最初から分かってんのにね」
降りてきた視線と合わさる。
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あさなさな(プロフ) - りつうさん» どっちも最高学年で生徒会の上の立場なので、嫉妬のような感情や一面は理性で隠してたんだと思います。ナムジュンさんの想いも、明かしていけたら…! (4月8日 13時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
りつう(プロフ) - 嫉妬によりMくんとナムさんの見えてなかった一面が顔を出しましたね〜!ナムさんもホソク先輩のことで葛藤したり懊悩してたのかな〜と想像してしまいました😢 (4月7日 16時) (レス) @page13 id: 2c4192e77a (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - Suzyさん» ありがとうございます…♡ (4月7日 10時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - あさなさなさんの···繊細な表現がすきです💙❤💙 (4月5日 23時) (レス) id: 8ccc3081cc (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - りつうさん» 主人公の相談に乗ってくれる人がなかなか居なかったので、ようやくのヨンジュン先輩でした!それぞれのキャラクターの心情まで深く読んでいただけて嬉しいです!素敵なお言葉もありがとうございます! (3月18日 12時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさなさな | 作成日時:2024年3月15日 18時