162:子供のような ページ13
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グっとキツイ言葉を飲み込んで、だけど疑問が持ち上がる。
私のどれだけを知ってるの?
全部正解じゃなくても、全部間違いなんて無い。
ナムジュン先輩が言ってる事は分かる。
それだけの覚悟があるんだってことも分かる。
私が優柔不断なのは確かにそうだ。
でも私だってそんなに生半可な気持ちじゃない。
『大切な人を全て、大切にしたいと思うのは間違いなんですか?』
家族と全然上手くできてなくて、だからなおさら、私と友達になってくれた人に気持ちを返せる人でいたい。
だって…
『そうじゃないと、大好きな人の前に居るのが恥ずかしいです』
ナムジュン先輩の目が、ふらりと揺れた。
私は生徒会に入るまで、本当に色んな事に甘えていたって気づいた。
自分で考えないといけない。
自分の考えは自分で伝えないといけない。
自分の意思は自分の行動で示さないといけない。
そんな当然の事も知らずに、思うようにならない周囲に嘆いていた。
それがきっと、ナムジュン先輩の気に障っていた事のひとつだと思うから。
はっきりさせる事に慣れてない私は恥ずかしいと思ってしまうけど、でも恥ずかしい事じゃないのは、理解したんだ。
「……羨ましいよ」
『え…?』
静かな池に、石が投げ入れられた。
そんな気がした。
「ホソギの心を攫っていった君が。真っすぐに自分の弱みと向き合える君が。
俺には無いものでできてる君が。
…だから腹立たしくて仕方がない!」
今までは青い炎の憤りだった。
けれど今日は小さい子みたいな、単純で真っ赤な嫉妬。
それはずっと、ナムジュン先輩の巧みな言葉の奥に隠れて見えなかったもの。
すると急に苦虫を噛み潰したような顔になって、踵を返した。
『ナムジュン先輩、待ってください』
「付いてくるな」
『言い逃げするんですか』
「逃げてない。君相手に逃げる必要もない」
『じゃあちゃんと私の事見てください』
ナムジュン先輩の腕を掴むと、身体がこちらに開いた。
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…どうして。
今日はそんな、子供みたいな顔ばかりするんですか…
『ナムジュン先輩…』
黙ってじっと下を見ている先輩の前で、ただ待つ。
分かりますか?
私だって、本当にホソク先輩が好きなんです。
誰も通らない高級ホテルの廊下が妙に寂しかった。
「……
理事長の奥さんは、ホソギが3歳の時に亡くなってるんだ」
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あさなさな(プロフ) - りつうさん» どっちも最高学年で生徒会の上の立場なので、嫉妬のような感情や一面は理性で隠してたんだと思います。ナムジュンさんの想いも、明かしていけたら…! (4月8日 13時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
りつう(プロフ) - 嫉妬によりMくんとナムさんの見えてなかった一面が顔を出しましたね〜!ナムさんもホソク先輩のことで葛藤したり懊悩してたのかな〜と想像してしまいました😢 (4月7日 16時) (レス) @page13 id: 2c4192e77a (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - Suzyさん» ありがとうございます…♡ (4月7日 10時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - あさなさなさんの···繊細な表現がすきです💙❤💙 (4月5日 23時) (レス) id: 8ccc3081cc (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - りつうさん» 主人公の相談に乗ってくれる人がなかなか居なかったので、ようやくのヨンジュン先輩でした!それぞれのキャラクターの心情まで深く読んでいただけて嬉しいです!素敵なお言葉もありがとうございます! (3月18日 12時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさなさな | 作成日時:2024年3月15日 18時