151:先の想像 ページ2
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前に根も葉もない噂流しちゃったし、これが罪滅ぼしになるかは分かんないけどって、相談する口実までくれて…
その優しさに甘えて、印刷室の片隅でしゃがみ込んで事のあらましを伝えた。
『全部自己責任って分かってます。自分が蒔いた種だって…』
「でもさ、ソクジンとのお試しは来週末まででしょ?」
『…はい』
「2人が付き合ってる〜みたいな空気も既に薄れてるし、満期終了から文化祭まではガッツリ忙しくなるだろうし」
『はい』
「そんでAちゃんが文化祭でホソク先輩に告白。もうこれで良いんじゃない?時間と忙しさに助けてもらおうよ」
ヨンジュン先輩のアドバイスに、グッと言葉が詰まる。
ソクジンくんとのお試し期間が終わった後の事を考えるのが、実はずっと上手くできない。
自分の気持ちはハッキリしているのに、でも絶対に気変わりしないって決めつけてしまうのは、あまりに酷で咎められている気がしてくる。
『…先の事を考えると、本当にソクジンくんに申し訳なくて。ぎゅって胸の奥が苦しくなるんです。だから…』
「ホソク先輩は?」
ヨンジュン先輩が、私の全てを見透かすような眼差しで首をかしげる。
「例えばホソク先輩とこのまま疎遠になっちゃって、卒業してしまいました。この先も一生会う事はないかもしれない。
…って考えてみたら?」
『嫌、です』
ほとんど無意識にポロっと頬に涙が零れた。
『そん、そんな…』
ヤダ、悲しい。もっともっと心臓が痛くて辛い。
見ないようにしてきた。そんな未来はもっともっと想像しないようにしていた。
この恋が叶うように、なんてたくさんの努力がどれだけ報われるかは、きっと微々たるもので。
だけどそれが分かっていても、コントロールなんてできない。
ボロボロと後から後から涙が止まらなくなった私を見て、ヨンジュン先輩がポンポンと背中を叩く。
「優しいのも考え物だよね」
輪転機は紙が無くなってしまったのか、さっきから規則的な音も聞こえなくなって、モニターを赤く点滅させている。
速く補充して作業の続きをしなきゃと思うのに、手が涙で濡れてしまってどうしようもない。
「ホソク先輩だってようやくウナ先輩と関係を清算したんだ。それって絶対Aちゃんの為。
希望があるなら進まないと。ソクジンくらい、ズルくなって良いんだよ」
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あさなさな(プロフ) - りつうさん» どっちも最高学年で生徒会の上の立場なので、嫉妬のような感情や一面は理性で隠してたんだと思います。ナムジュンさんの想いも、明かしていけたら…! (4月8日 13時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
りつう(プロフ) - 嫉妬によりMくんとナムさんの見えてなかった一面が顔を出しましたね〜!ナムさんもホソク先輩のことで葛藤したり懊悩してたのかな〜と想像してしまいました😢 (4月7日 16時) (レス) @page13 id: 2c4192e77a (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - Suzyさん» ありがとうございます…♡ (4月7日 10時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - あさなさなさんの···繊細な表現がすきです💙❤💙 (4月5日 23時) (レス) id: 8ccc3081cc (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - りつうさん» 主人公の相談に乗ってくれる人がなかなか居なかったので、ようやくのヨンジュン先輩でした!それぞれのキャラクターの心情まで深く読んでいただけて嬉しいです!素敵なお言葉もありがとうございます! (3月18日 12時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさなさな | 作成日時:2024年3月15日 18時